第17話 2人目の恋敵
次の日(木曜日)。
朝飯を終えた二人はいつものように学校に登校した。
「毎日平和だなぁ。」
龍二は幸せそうに言うと、
「平和なのはおそらく貴方の頭だけです。」
晴美は珍しく憎まれ口を叩いた。
「どうした晴美、嫌に機嫌が悪いな。なんかあったか?」
「いいえ、別に何もありません。」
「そうか?」
龍二は不思議に思ったまま、すたすた歩いていると、気づけば学校に着いていた。
「では、私はこれにて。」
晴美はペコリと頭を下げ、さっさと中学の校舎に向かった。
「なんだ。あいつ・・・。」
龍二は教室に着いたら、葵が龍二の席に座っていた。
「やっほー、龍ちゃん。」
「いや、何普通に座ってんだよ。」
「いや~、待ちきれなくて、つい。」
「で、用は?」
立ったまま、葵に話すと、
「別に?用はない。」
「ないのか。」
「国語の宿題終わった?」
「当たり前だろ。」
「見せて?」
「やなこった。宿題は自分でするもんだ。」
「むーっ。」
「ほら、どいた。どいた。」
二人は話していると、龍二は目線を感じて見ると、裕子と洋子が龍二のクラスに来ていた。
龍二と同じクラスにいる女子バレー部の子と話をしていた。
「どうしたの?」
葵は龍二に問いかけた。
「いや、別に。」
「なんかあそこら辺りから目線を感じるんだけど。知り合い?」
「あぁ、女子バレー部の顔見知りさ。」
「ふ~ん。」
葵は特に見てくる女子を少し警戒した。
女の勘が言っていた。
あの女には警戒せよ、と。
「ねぇ。あの二人何組?」
「えーと、2、3組じゃなかったかな?」
「そうなんだ。龍ちゃんにバレーボールは似合わな~い。」
「ほっとけ。」
昼休み。
晴美が来た。
「お待ち遠様です。」
「お、おう。」
晴美は機嫌が悪かった。
二人はご飯を食べ、重箱を片付けてさっさと帰ろうとした。
「おい、晴・・・。」
龍二が言おうとしたら、
「晴美ちゃん。ちょっと。」
葵が晴美に声をかけた。
二人は目が合い、そのままクラスから出て、廊下で歩きながら話をした。
「女子バレー部の一人警戒した方がいいわ。」
「えぇ、その話は主人から聞きました。」
「え、どういう・・・。」
昨日の龍二の話を搔い摘まんで葵に話した。
「成る程ね。付いてきたんだ。」
「えぇ、今日彼女の行動から察するに・・・。」
「龍ちゃんのこと・・・。」
「主人のこと・・・。」
「好き(です)ね。」
二人はハモった。
葵は晴美に微笑んだ。
「でもどうして私に教えてくれたんです?」
晴美は葵に聞くと、
「まっ、恋敵だけど、貴女とはなんか対等にやりたくてね。敵の敵は味方的な。」
「成る程、意味不明です。しかしですね。」
「?」
「私は小関龍二の妻です。妻として負ける訳にはいきません。」
「・・・言うわね。」
「当然です。」
「まっ、私も負けないから。奪ってみせるわ。」
右指を銃の形にした。
二人は笑った。
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