第13話 妄想と現実
(はぁ、葵ちゃんに会いたくねぇ。)
龍二は思いっきり妄想した相手に会うのはなんか恥ずかしかった。
(最後までいったからなぁ。)
「では私はこれにて。」
「あ、あぁ。」
二人は分かれた。
龍二はため息をつきながら、教室に向かった。
「おっす。龍ちゃーん。」
「うわっ?!!」
いきなり葵は龍二にくっついてきた。龍二はビックリした。
「何よ?五月蠅いわね。」
(胸が、胸の感触があった。)
龍二は息を荒くしながら、心臓の鼓動が聞こえてきそうだった。
「くっつくなよ。ビックリするじゃん。」
「ビックリしたのは、こっちよ。いきなり大きい声出すから。」
「あー、ったく。」
チラッと、龍二は葵の方を見た。首から上が熱くなった。
「あの、僕は席に行きますので、それでは・・・。」
龍二はそそくさと自分の席に行った。
「おい、小関大丈夫か?何か様子がおかしいぞ?」
「だ、大丈夫・・・。」
増岡も葵も不思議そうに龍二を見た。
昼休み。晴美が重箱を持って龍二のクラスに来た。
「晴美ちゃん、いらっしゃい。」
「どうもこんにちは。」
「あ、晴美ちゃん、うっす。」
「増岡さん、こんにちは。」
「なんか今日、龍二の奴変なんだよ。家で何かあった?」
「さぁ、私も気にはなってるんですけどね。」
二人はいつものようにご飯を食べ始めたが、龍二がいつもよりしょぼくれていた。
「ねぇ、増岡さん。高校2年生の男子って何考えているものですかね?」
増岡はう~ん、と考え始めた。
「恋かな?」
「コイですか?」
「そう、好きな人を想像しては、デートしたいと思うものだよ。」
「へぇ。そうなんですか。」
少し妬いた声で言った。
「晴美ちゃんはないの?」
「私ですか?私は好きな人と一緒に居られればそれで良いです。」
晴美は素直に言ったので、
「きゃー、晴美ちゃん可愛い~。」
周りの女子達が言った。そして晴美は増岡さんと、続けた。
「男子って、彼女が居るにも関わらず、他の女子とかの妄想とかしますか?」
増岡はドキッとして、
「えっ?その~。」
女子達は静かに耳を傾けていた。
「人によるんじゃないかな?ははっ。」
(彼女居たことないから、分かんない!!)
二人は飯を食べた後、クラスに戻った。
そしたら、葵は微笑みながら龍二に近づいて来て、龍二の耳元で、
「何、私の妄想でもしてたの?」
龍二はドキッとして、葵の顔を見た。
「ま、まさか~・・・。」
(嘘だな。これは。)
葵は龍二の顔を見て確信した。
「この浮気者。」
「は?!誰のおかげで・・・。」
龍二は言いかけたが、
(はっ、仕舞った!)
と思い言うのを止めた。葵はニヤニヤしながら、自分の席に行った。
(これで、第一段階突破ね。)
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