第12話 罪悪感と快感

龍二は部活を終え、帰り道を歩いた。

男子は高校2年生にもなると、妄想逞しく涎を垂らしそうになったから、じゅるっと飲んだ。

家に帰るのは少し気が引けた。しかし、家に帰らないと、

(晴美が料理を作っている・・・。あぁ、どうしたらいいんだ~。)

龍二の頭の中は混乱した。仕方なく玄関を開けた。


「ただいま~。」

「お帰りなさい。あなた。」

晴美はいつものように玄関に手を付いた。

龍二は妄想とはいえ晴美に申し訳ない気持ちになった。

「あ、ああ。飯は?」

龍二は晴美の顔を見れなかった。

「もう少しで出来ますよ。」

「・・・そうか。」

数分後。料理が出来、二人は食べた。そして龍二は食べながら、罪悪感に見まわれたので、

「ゴメン。」

「どうしましたか突然。」

「葵ちゃんで妄想をしちゃった。」

「・・・どんな妄想です?」

「そりゃあ、あんなことやこんなことを・・・。」

「・・・。」

晴美はため息をつき、頭を振って、

「はぁ、お年頃ですね。いいですよ。妄想だけなら。」

えっ、と龍二は驚いた。

「えっ?いいの?」

「いいですよ。妄想くらいなら、貴方の自由です。」

でも、と続けた。

「勿論、現実でしたら折檻ですけどね。」


暫くして、龍二の夢の中。

「あぁん。龍ちゃん。そこ。そこよ!」

「ここか?」

「そう、そこ。あん、いいわ。」

「あ、あっ!いく!」

「龍ちゃん。お願い。中で、中で出して。」

「ああ!」

「ああっ!」


朝。チュチュン、チュチュン。

いつもより朝早く龍二は起きた。

ズボンの中を見た。

「はぁ・・・。」

晴美もちょうど起き、龍二が起きているので、ビックリした。

「えっ、お早うございます。あなた。・・・あなた?どうかしましたか?」

「いや、あのその~。」

龍二は布団を上げながら、目線を反らした。

晴美は埒が明かないと思ったので、仕方なく龍二の布団の中を見た。

晴美は赤面した。

「えっ?これって。」

「それです。」

「えっ、でも?えっ?」

晴美は珍しく混乱した。

「年頃の男子はこうなる時があるんです。」

「えっ、そうなんですね。」

「・・・はい。」


龍二は朝風呂に入った。

晴美は素振りをした後、朝ご飯を作った。

「朝ご飯出来ましたよ。」

「はい・・・。」

「なんですか?男子はああいうことをすると、精気すら無くなるんですか?」

龍二は吹いた。

「せめて、元気は?と言ってくれ。」

「元気すらなくなるんですか?」

「・・・そんなことないけど。」

(言えない。昨日の今日で葵ちゃんの妄想してたなんて、言えない・・・。しかも、最後まで。)

晴美は不思議がった。

そして、晴美は重箱に昼飯をつめて、二人はいつものように学校に登校した。

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