第9話 始めて

葵とのデートを終え、二人は家に帰った。

「今日はなんか疲れたな。」

「そうですね。」

「偶には外で食べに行くか?」

「いえ、大丈夫ですよ。昨日のカレーが残ってますから。」

「そうか。」

晴美はさっさと、和服に着替え、割烹着をし、カレーをあたためて、二人はご飯を食べた。

「やはり、お前のカレーは美味いなぁ。」

「有難うございます。」

晴美は素直に喜んだ。まだ彼女には子供のあどけなさがどこか残っている。

(葵ちゃんかぁ。一体何を企んでいるんだ?)

龍二は葵のことを考えながら食べた。

二人は食べ終わり、のんびりしていたら、葵からLineが来た。


{今日は楽しかったわ。ありがとう)

「楽しかったぁ。あれが?」

つい龍二は声に出た。

「何が楽しかったんですか?」

「あっ、いやなんでもない。」

(それはどうも。}

龍二は返信した。

Lineは葵が既読して終わった。

「何だったんだ?」

龍二は不思議がった。

そして二人は宿題をし、布団を敷いた。

そして、ふと葵の言葉がよぎった。

(「もしかして貴方達、キスもまだなの?」)

龍二は考えていた。

(キスか・・・。)

龍二と晴美との年の差二歳。性行為をしても不思議な年齢差ではない。

(しかし、まだちょっと発育が・・・。)

晴美はまだ中学3年生。まだどこかしら子供っぽい。

龍二は高校2年生、やりたい真っ盛り。晴美とすることも考えてない訳ではない。

(けど、まだ体がなぁ。)

やはり彼は晴美の体の発育が気になる。


「・・・。」

暫くして、

「なぁ、晴美ー。起きてるか?」

「起きてますよ。」

「あのさ、色々考えたんだけど・・・。」

「?」

「キスぐらいしとくか?」

「なんですか?いきなり。」

「僕達夫婦なのに、営みを1つもしてないのは不自然ではないか。」

「全く、何を考えていたと思えば、葵さんのことを考えていたんですね。」

晴美はため息をつきながら言った。

「いや、まぁ、そのだな・・・。」

「いいですよ。」

「えっ?」

「いいですよ。して下さっても。」

二人は無言になった。

「では。」

龍二がゆっくり顔を近づけ、二人は始めてのキスをした。

晴美の口から少し仄かにカレーの味がした。

「お休み。」

龍二はさっさと寝た。

「全く、馬鹿なんですから。」

晴美は顔を赤らめ、自分の唇を触りながら寝た。


翌日の日曜日。

「はぁ、気持ちが良い朝だなぁ。」

「お早うございます。あなた。」

晴美はいつものように素振りをしていた。

「おぅ、お早う・・・。」

龍二は少し照れていた。昨日のキスが残っていた。

「どうかしましたか。」

晴美は龍二の顔を見て不思議そうな顔をしていた。

「いや、何でも無い。朝飯食べよう。」

「はい。」

晴美は言いながら、

(まだ昨日のこと忘れられないわ。)

頬を仄かに赤らめた。

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