第8話 3人デート(後編)

「えっ?」

龍二は混乱した。

(えっ?どゆこと?どこまでって?)

「貴女はどこまで気づいてますか?」

晴美は感情をおくびにも出さずに言った。

「そうねぇ。貴女がおそらく許婚じゃないかと思っているわ。」

(半分合ってる。)

龍二はしどろもどろになっていた。


「しかし、残念ながらもう許婚ではありません。」

龍二は晴美の発言に驚いた。

(えっ、ちょっと、言っていいの??)

「えっじゃあ・・・。」

「はい、もう結婚しております。」

「おい、晴美。」

「あなたは少し黙ってて下さい。」

「・・・はい。」

龍二はしゅんとなった。

流石の葵もその発言は想定外だったようで、目を見開いた。

「えっ、貴方達、夫婦なの?」

「はい。」

葵は暫く沈黙した。何かを考えていた。

3人は黙った。口火を切ったのは葵だった。


「・・・いったの?」

「えっ?」

「どこまで夫婦の営みをしたのか聞いているの。」

2人は赤面して黙った。

「もしかして貴方達、キスもまだなの?」

2人は黙ったままだった。葵はニヤリと笑い、

「ふ~ん。分かったわ。今日は帰ります。」

葵は立ち上がり、さっさと帰ろうとした。

「おい、タピオカは?」

「そんなのデートの口実に決まってるじゃない。飲みたかったら、二人でどうぞ~。」

葵は喫茶店を出ていった。

二人は喫茶店でただじっと座ったままだった。暫くして二人は喫茶店を出た。


「ふぅ、相手は強敵ですね。夫婦をもろともしないです。」

「おいおい、言って良かったのかぁ?もし、バラされてもしたら・・・。」

「大丈夫でしょう。彼女なら。」

「?どうして、そんなことが分かるんだ?」

「それは彼女の今日のデートの時の性格と女の勘です。それより・・・。」

「?」

「彼女ここからどう動くかが気になりますね。」

「?」

晴美は熟考しながら一つ一つ言葉を選びながら言った。


「愛人か?もしかしたら私達の離婚まで追いやるかも。」

「ま、まさか~。」

彼等の親達は彼らの相性が良いことを確認してから二人を結婚させた。

「そう、易々と離婚なんて・・・。」

「夫婦の絆が試されますよ。あなた。」

「ん?その前になんで葵ちゃんがそんなことするんだ?」

龍二は根本的なことが分かっていなかった。


「はぁ、もう鈍感ですね。」

晴美はため息をつきながらすたすたと歩いた。

「おい、待てよ。晴美。」

「頑張って考えて下さい。そうでないと、置いて帰りますよ。」

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