第6話 油断ならぬ葵

クラスの休み時間の時は、葵のターンだ。

「龍ちゃん。」

「あんだよ。」

「あん、もう。そんなつれない返事しなくてもいいじゃない。」

「・・・。」

「天気良いわね。」

「そうだな。」

「そういえば、私タピオカ飲んだわよ。」

「へぇ。」

「最近、チーズが流行ってるんですって。」

「ほぉ。」

「・・・。」

「・・・。」

「何、そんなに私と話したくないわけ?」

葵は半ギレ状態だった。

「いや、そういう訳ではないんだが・・・。」

「じゃぁ、何で喋ってくれないの。ねぇ、増岡君?」

「えっ?あー、うん。そうだぞ。小関!」

葵は増岡を絡めてきた。

(ちっ、厄介な事を。)

「もしかして、晴美ちゃんが関係あるのかしら?」

葵はワザとらしく言った。

「お前、こんな可愛い同級生より妹とるのか。シスコンにも程があるぞ。」

「あっ、馬鹿。そんなんじゃないよ。」

「ねーっ。」

葵は増岡と龍二に言った。

「・・・ま、そうだな。タピオカだったな。」

「ねっ、今度タピオカの美味しいお店に二人で行かない?」

龍二はギクリとした。ここで、yesと言ってしまえば、増岡が証人になってしまう。noと言ってしまえば、何でとなる、さて龍二はどうしたものか。

暫く龍二は考えた。

「そういえば晴美がタピオカ飲みたいと言ってたなぁ。3人で行くか?」

葵は硬直した。

「あぁ、晴美ちゃんとね。ふ~ん。」

チャイムが鳴った。

「まっ、考えとくわ。」

葵は淡々と言い、龍二の席から離れていった。


次の休み時間は葵は龍二の席に来ず、勝ったと、龍二は思った。


そして、昼休み。晴美が重箱を持って来た。

「増岡さん。どうもこんにちは。」

「こんちは。晴美ちゃん。」

「待ちましたか?」

「大丈夫だよ。」

龍二は明るく言った。

「さて、食べますか。いただきます。」

二人は食べた。

「そういえばさぁ、小関が言ってたけど、タピオカ飲みたいんだって?」

龍二はギクッとして、晴美はえっ?って顔をした。

「そうだよな。晴美?!」

龍二は晴美に強く言った。

「えっ、えぇ。まあ、一度は聞いたことありましたから。」

晴美は、はぐらかしながら言った。

二人は飯を食べ終わり、晴美が片付けた時、葵が近づいて来る。

「分かったわ。私と龍ちゃんと、晴美ちゃん、3人で行きましょう。」

葵は言ったので、龍二はビックリした。

「えっ?」

「どういう意味ですか?」

晴美は葵にやんわりと聞いた。

「私が龍ちゃんにタピオカ飲もうって誘って、晴美ちゃんが来るなら行く、って言ったのよ。」

葵は晴美に淡々と説明した。

成る程、晴美は一連の話に納得して言った。

「分かりました。お伴させて頂きます。」


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