第4話 気合い

晴美の朝は早い。

朝、朝食と重箱に入れる昼食を手作りする。

「おはよう。」

「おはようございます。あなた。」

そして、二人で飯を食べ、重箱を持って出ていく。


学校でもマメで丁寧で、明るく、優しく感情を素直に出すので、女子からは憧れ、よく男子からもてる。

週に一回はラブレターが下駄箱に入っている。

「ごめんなさい。私には大切な方がいらっしゃいますので。」

うわ~っと言って男子は去っていく。


昼休み、重箱を手に持って、龍二のクラスに行き、龍二と食べる。


放課後、薙刀部の部活に行って、練習をする。部活でも優秀で大会のメンバーに入っている。

帰って晩ご飯を作り、二人で食べ、宿題をして就寝する。


さて、今日の晴美はいつもより少し早く起きて、朝から珍しく薙刀を振っていた。

「どうした。珍しい。薙刀なんか振って。」

「おはようございます。暫く、気持ちをしっかり持っていないといけない事案が出来ましたので。」

「ふ~ん。そうか。」

二人はいつものように一緒に出ていく。

「朝から疲れただろ。重箱持つよ。」

「あなた、妻のアイデンティティーを取らないで下さい。」

晴美は龍二を叱った。

「そうか。すまん。」

龍二は少ししゅんとした。

晴美は中学校、龍二は高校に行く。

「では、私はこれで。」

「うん。分かった。」

「後、女性にはくれぐれも気を付けて下さいよ。」

晴美は少し強く言った。

「わっ、分かってるよ。」

「では、私はこれで。」

晴美は校舎に向かった。

「『貴方は、彼女を少し警戒しすぎじゃないですか?』って言いながら、しっかり葵ちゃんのこと気にしてるじゃないか。」

龍二は一人愚痴た。


「おっはよ~、龍ちゃん。」

「あぁ、おはよう。」

葵は龍二の机の上に座った。葵は脚を組みかえたりするもんだから、龍二はついついミニスカートから出ている太ももを見て、顔が緩んだ。

葵は龍二の様子を見てニヤリとした。

「あんまり人の机にすわるななよ。」

葵の太ももを見てニヤニヤしながら、龍二は言った。

「私と龍ちゃんの仲じゃない。」

「そ、そうかぁ?」


「子供の頃、よく遊んだよねぇ。」

「あぁ、プール行ったり、公園で遊んだり。」

「あの頃から仲良かったよねぇ。」

「ま、そうだなぁ。」

「お互い仲良い間柄なのに、Line交換まだだったよね。Line交換しょう。」

「いや、僕はちょっと・・・。」

「いや、なの?」

「嫌じゃあ無いけど。」

「そんなこと言ったら・・・。」

葵はうるっ、とした顔で龍二の耳に近づけ、

「晴美ちゃんが、龍ちゃんの妹じゃないの皆に言おうかしら。」

ドスの聞いた声で龍二はびくっとして、葵の顔を見ると、顔はうるっとしたままだった。


龍二はため息をつき、

「分かった。いいよ。」

龍二は渋々言い、

「ありがとう、龍ちゃん。」

龍二と葵はLine交換した。

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