第2話 龍二の子供の頃を知る女
久しぶりに葵に会って、龍二はついつい頬が緩んだ。
(いや~、昔の友達しかもかつて好きな子に会えるなんて感慨深いなぁ。)
授業中、龍二は葵に龍ちゃん、と呼ばれたことを思い出し、懐かしいなぁ、と思った。
そして昼休み。
葵はクラスの女子と話をして、弁当を取り始めた。
そこに、晴美が重箱を持って来て、龍二のクラスに入っていつものように重箱を机に置いて座った。
「晴美ちゃん。いらっしゃい。」
周りの女子達が言い、晴美もこんにちは、と笑顔で返した。
葵は二人仲良く食べる風景に周りの女子に二人の関係を聞いた。
「あの二人は兄妹よ。」
「ふーん・・・。」
そして、二人は食べ終わり、
「では私はこれにて。」
晴美は重箱を持って龍二のクラスから出ていった。
放課後、龍二の所に葵が来た。
「龍ちゃん。ちょっと言い?」
「ん?どうした?」
龍二は葵に体育館裏に連れ出された。
「僕、部活あるんだけど。」
「すぐ済むわ。」
「で、話って?」
龍二は葵に問いかけた。そして、
「貴方、確か一人っ子よね。」
龍二はドキッとした。龍二は無言になった。
「どうなの?」
「あれは、遠い親戚の娘で、同じ苗字で年下だから妹ってことにしてるんだよ。」
「ふ~ん。」
葵はそう言った後、無言になった。
「貴方、子供の頃言ってたよね。許嫁が居るって。許嫁はどうなったの?」
葵は龍二に聞いた。龍二はまたしても無言になった。
「・・・よく覚えているな。」
龍二は少し葵を睨んだ。
「怖い顔しないで、聞いているだけよ。」
「・・・まだ居るよ。」
「ふ~ん。そっ。」
葵は龍二をほって、スタスタと去った。龍二は無言で彼女の後ろ姿を見た。
部活後、龍二は家に帰ると、味噌汁の良い香りがした。
「ただいま~。」
晴美が玄関に手を付いて、
「お帰りなさい。」
「晴美、折り入って話がある。」
「分かりました。食事食べながらでいいですか?」
「あぁ。」
晴美は料理を作り終え、机に並べた。
「いただきます。」
二人は言い、美味しく食べた。そこで晴美は龍二に言った。
「で、話とは?」
龍二は箸を止め、あぁ、と言った。
「実は、今日うちのクラスに転校してきた春野葵という女子なんだが。」
「えぇ。」
「実は昔の小学校の同級生で、彼女転勤族だったけど、3年間一緒だったんだ。」
「はい。よく覚えてますね。」
「あぁ、実は昔好きな子だったんだ。」
晴美は無言になった。
「けど、昔の話でしょ?」
「あぁ、勿論だ。今はお前に一途だよ。」
晴美は照れたが、話を続けた。
「何か遭ってわざわざ話されているんでしょ?」
「あぁ、彼女は僕が一人っ子と、許嫁が居たことを覚えているんだ。」
「・・・成る程。」
晴美は考えた。
「子供の頃、何処まで話したか覚えてますか?」
「それが、全く~。」
龍二は明るく言ったが、相変わらず晴美はじとーっと龍二を見た。
「はぁ、まあ、分かりました。」
晴美はため息を付ながら食べた。
二人は食べ終わり、片付けをして晴美は言った。
「万一浮気したら折檻ですよ。」
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