古風の妻

峪明博

第1話 古風な妹と突然の転校生

高校2年生、小関龍二はごく平凡の高校生だ。成績は並の上、顔は並、運動は少し苦手である。

しかし、そんな彼にも秘密があった。それは16歳を期に親の承諾の元で結婚したのだ。

相手の名は小関(旧姓早瀬)晴美、美人で成績優秀で、性格は優しく、彼に一途で、彼をほっとけなくて、そしてちょっぴりポンコツな女子中学生だ。

学年は中学3年生で、龍二が小学1年生の時に彼女は許嫁になった。


そして今は仕送り付で二人暮らしをしている。

これらの話は彼等の友達にはまだ秘密だ。


「あ~、彼女欲しいなぁ。」

龍二の友達、増岡正晴は朝からこんな調子で言う。

「煩いぞ。正晴。」

龍二は朝からダルそうに言う親友を叱った。

「だって、高二だぜ?彼女の一人や、二人欲しいものだぜ。」

「彼女が二人いたら、それは浮気と言う。」

「まぁ、そういうなよ。兎に角、高二にもなったんだから、彼女も欲しい訳よ。」

「ん。まぁ、分からんでもない。」

「そうか、分かるか同志。」

「えっ、あっ、うん。」

こうして二人?は意気投合した。


そして、昼休み。

「今日も晴美ちゃんは来るのか?」

増岡は龍二に聞いた。

「あぁ、来るはずだ。」

「いつも重箱を持って来て、小関(龍二)のクラスで食べるなんて相変わらず仲の良い兄妹だなぁ。」


学校の友達には龍二と晴美は兄妹扱いになっていた。そして、二人は公立の中高一貫校に通っている。


「あぁ、まあな。」

龍二はドキッとしながら言った。

(ついつい、このフレーズが出ると緊張するな。)

そして重箱を持って晴美が来た。

「遅くなりまして、済みません。あな・・・お兄様。」

「いや、待ってない。大丈夫だよ。」

「それは良かったです。」

晴美は龍二の机に重箱を置いて、龍二の椅子より一回り小さい椅子を持参して座った。二人は晴美の手作りの料理を食べた。


「相変わらず美味いなぁ。晴美の料理は。」

晴美は笑顔になり、顔に感情を素直に出すから、龍二のクラスの男女とも人気がある。

「きゃ~、可愛いい晴美ちゃんーっ。」

二人は食べ終わり、晴美が帰る準備をすると、

「もうちょっと居ればいいのに。」

周りは晴美に言うが、

「あ・・・、お兄様の邪魔になりますので。」

晴美は言って、

「失礼しました。」

晴美は龍二のクラスから出て行った。

「相変わらず丁寧で優しい妹だな。」

「あぁ、まあな。」

「ああいう女を彼女にしたい。」

増岡は願望を言ったので、

「晴美はやらんぞ。」

龍二はすかさず言った。


晴美は薙刀部に所属しているので、帰りは18:30位に帰宅する。

「よし。」

晴美は割烹着を来て料理する。

19:00頃に龍二が帰ってくる。

「ただいま~っ。」

晴美は玄関に手を付き、

「お帰りなさい。済みません、料理はまだです。」

「いやいや、お前も部活で疲れているから、ゆっくりで良いよ。」

龍二は優しく言った。

「はい、あなた。」

彼女は早瀬家の教育方針もあり、かなり古風なのである。そして、この平穏な夫婦に事件が起きた。


暫くして、龍二のクラスにて。

「よーし、転校生を紹介するぞ。」

担任の先生は言い、彼女を連れてきた。

「こんにちは。春野葵です。」

可愛い~、と言う声がクラスから聞こえた。

しかし、龍二だけなんか違和感があった。

(あれ?どこかで・・・。)

暫く考えて思い出した。

「葵ちゃん?」

龍二はつい大声で言った。龍二はしまった、と言う顔をした。葵は龍二の方を見て、そのまま正面を見た。

そして、休み時間、葵は龍二に近づいた。

「こんにちは。私、増岡・・・」

彼女は増岡をスルーして言った。

「龍ちゃん?龍ちゃんよね。」

「あ、あぁ。」

「龍ちゃん。久しぶり~。会いたかったー。」

彼女は龍二の手をぶんぶんと振った。

かつて彼女は龍二が好きだった女の子だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る