あとがき

 このたびは『ラファエルの憂鬱』を読んでいただき、ありがとうございます。




 この作品を書くきっかけは、アベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』を読んで、奔放で無邪気な少女と振り回されるも彼女を愛さずにいられない神学生という構図が逆転したら面白いだろうな、と感じたことです。

 神父の豹変ぶりや結末は賛否両論あるでしょうが、これははじめから設定していました。自分でも最低な男だなーとは思いますが(笑)。

 昭和初期のミッション・スクールにしたのは、単なる私の趣味というほかに、戦争の足音が聞こえはじめた世間とは隔絶された世界や、華族制度という歴然たる階級社会とそれにともなう弊害、まだまだ浸透しない自由恋愛、聖職者の妻帯を認めない教義と抑圧された欲望などが、舞台になれば作品が活きると考えたからです。




 こんな話を書いていますが、私自身には特定の宗教に対する批判も意見もありませんし、付け焼き刃な知識しか持ち合わせていませんので、宗教的倫理観にもとづく苦情などはご遠慮下さい。それ以外のご指摘・批評などは大歓迎です。




 みなさんに、少しでもお気に召してもらえれば幸いです。もしよろしければ、簡単な感想等いただければ、これからの励みになります。

 ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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