初めまして。お嬢様
「え・・。だ・・誰!?」
「初めまして。私、執事の心影ともうします。どうぞよろしくお願い致します。」
「しっ・・執事?この家に執事なんていないけど・・」
「存じております。私は、ずっとこの箱のなかにおりましたから」
「・・どういうこと」
私にはさっぱりだ。この執事意味わかんない。頭大丈夫かな。よく今まで執事やってこれたよね。
「この箱のなかに、人間が入れるわけないじゃん。騙して面白がるだけなら、それには騙されないから。」
「騙してなどございません。それに、執事の私にお嬢様を騙して面白がるなどそんなことは死んでもできません。」
「・・・じ、じゃあどういうことよ」
「このモノクル見覚えございませんか」
と、執事が指差したのは、あの箱のなかに入っていたモノクルだ。
「・・あ」
「信用できないかもしれませんが、私、モノクルなんです」
「・・は?」
「モノクルの執事なんです」
頭の整理がつかない。全くどういうことかわからない。モノクルの執事?そんなのいる?嘘としか思えない。
「なので、この人間の姿でいられるのは、もって一週間でございます。」
まてまてまて!さらに意味がわかんない。こいつ何者・・。
「それは、ほんとのことなの?」
「はい。真実でございます」
「・・・」
・・信じてみるか・・。正直怖いけど・・。この人が、どういう性格なのか、どういう人なのか探ってみるのも面白そう。
「・・信じる努力は・・してみる・・。けど、もし嘘ってわかったら、その時点で摘まみ出すから」
「ありがとうございます。私、お嬢様のお力になれるよう精進します」
そんなこんなで、私はこの心影とか言う執事と一週間だけ雇うことになった。雇うというか、ただこの人がうちに居すわると言った方が合ってるかな。
「あ。ねぇ、心影っていうんでしょ?じゃあさ、こっこだね」
「・・・・はい?」
「あだ名」
「失礼ですが、執事にあだ名をつけるお嬢様などいるのでしょうか」
いちいちうるさいなー、この執事。別にあだ名つけたっていいじゃんね。そっちの方が呼びやすいからつけてるわけだし。
「別にいいじゃん。はい決まり。」
「はぁ。承知いたしました。」
「あ!ため息ついた。」
「これは、大変失礼いたしました。」
といって、こっこは深く頭を下げた。
「あ。お嬢様、学校はよろしいのですか。」
「・・・」
「お嬢様?」
「・・あぁ、うん。行かなきゃね」
「お送りいたします。リムジンをまわしてきますので少々お待ちください。」
といってこっこは部屋を出た。
「・・はぁ」
行きたくないな。でも、行かないとお父さんにもお母さんにも怒られてしまう。だから、行かなければならない。行かないといけないよってささやく天使と、休んじゃえ、無理してまでも行かなくていいとささやく悪魔。・・どっちを信用すればいいの。
「誰か・・」
『助けて』そう言おうとしたとき、ドアを三回ノックする音が聞こえ、そのあとに「お嬢様」というこっこの声が聞こえた。
「参りましょう」
「うん」
重い腰をあげて、重いバッグを持って、部屋を出た。こっこと一緒に、玄関まで行き、こっこが開けてくれたドアからリムジンに乗った。
「ふわぁ・・」
「お嬢様、学校に連絡はいたしましたか。」
「え?」
「今もう十一時でございますよ。」
「・・え!?」
大遅刻じゃん!最悪!ポケットからいそいそスマホを取りだし学校に連絡をいれた。優しい先生が出てくれてよかった。
「こっこ!安全運転で飛ばして!」
「承知いたしました」
いつもは、駅まで全力疾走して季節関係なく汗だくだったのに、今は走らなくても執事が車を飛ばしてくれる。汗だくにもならない。何て楽なんだろう。こっこが飛ばしてくれたおかげであっという間に学校についた。嬉しいのか嫌なのか。「到着いたしました」
こっこが、ドアを開けてくれた。リムジンから降りて服装を整えた。
「ありがとうこっ・・こ・・?」
後ろを振り向くと、リムジンもこっこも消えていた。
「こっこ・・?」
もしかして、もう効き目が切れた?
「・・・そんなわけないか」
そう呟いて校内へ向かった。
仮面執事 Hono🦄 @hono_yura_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。仮面執事の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます