ヤンデレ熟女
私は人間界へと転移した。そこは美しい海岸が広がっている片田舎だった。
我が王家に伝わる鏡の門は我らの世界と人間の世界をつなぐことができる。
人間の男を連れてくる。
この難題にどう対応すればよいのかを事前に研究した。
彼らはどういうタイプの女性を好むのか。
それを撤退的に調べた。
そして上位3タイプに絞った。
その一つがこれだ。
『ヤンデレ+熟女』
この人気パターン二つの組みあわせは破壊力抜群であると予測された。
熟女も破壊力抜群のモデルを選んだ。
それは柴〇理恵。
大きな瞳と大きな口。そして豊かなバストが目を引く美熟女である。
私は真っ赤なビキニを身に着けた。そしてヤンデレを装う小道具として出刃包丁を二本用意した。
私は両手に出刃包丁を持ち、海岸を練り歩いた。
豊かな胸元をプルンプルンと揺らしながら。
そうだ。胸元を揺らすのだ。
熟女好みのおっぱい星人がわんさかと寄ってくるに違いない。
しかし、誰も寄ってこない。
田舎の海岸とはいえ、海水浴のシーズン中である。
それなりに海水浴客は来ているのだが、何故か私を避けている。
何か間違っていたのだろうか。
その時、童貞スカウターがけたたましく反応した。ボーっと海を眺めていた若者。高校生くらいの彼に反応したのだ。
私は胸を揺らしながら彼に近づいていく。
そして彼に声をかけた。
「ねえ。私と遊ばない?」
振り向いた若者は途端に凍り付いてしまった。目を見開き、顎が震えているではないか。
何か恐ろしいものでも見たのだろうか。
ここには猛獣も魔物もいないのだが……。
「たっ! 助けてー!!」
そう叫んで若者は脱兎のごとく駆けて行った。
逃がしてなるものか。
私は彼を追いかけようとしたのだが、肩に手をかけられ制止させられた。振り向くと二人の警官がいた。
二人共若い男だった。
童貞スカウターの反応は弱い。
この二人は警官のくせにヤ〇チ〇のようだ。
興味が失せた。
しかし、警官は私を開放する気がない。
「その手に持っているものは何? 何に使うの?」
一応、愛想笑いを見せつつ私は返事をした。
「これは包丁。刃渡りは25㎝よ。用途はね。貴方の心臓に突き刺す事よ」
一瞬にして警官の表情が変化する。最初は優しいお兄さんだったが、今は恐怖に歪んでいる。
二人の警官は拳銃を抜いて構えた。
「包丁を捨てろ!」
「銃刀法違反で現行犯逮捕する!」
あら。私が何をしたって言うのよ。まるで凶悪犯に対峙してるみたいじゃないの。性経験は豊富なくせに、こういった事には経験がないのね。
しかし、これはどういう事かしら。
ヤンデレ熟女はモテモテどころか、何かサイコパスのような扱いを受けることが分かった。
ここは一時退却よ。
私は鏡の門をくぐり人間の世界を後にした。
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