第2話 だらだら

「だりー」

 

 ポヨイちゃん、ダルそうにソファーでごろごろ。

 どうしたのかな?


「だれもピンチじゃなくて暇だぁ」


 ポヨイちゃんは人のピンチを察知して助けに行くヒーローなんだね。

 

「だれか死にかけてくれないかなぁ」


 ポヨイちゃんの暇つぶしのために死にかけてあげるやつなんていないよね。 

 

 すると突然、ポヨイちゃんの腰椎がゴキゴキなり始めた!


「やば! 死にかけセンサー探知探知!!!」

「おくれちゃう! いそがなくっちゃあ!」


 ポヨイちゃんは食パンを咥えて家を飛び出した! 

 まだ朝食を食べてなかったようだね。


「もぐもぐごっくん おえっ ほおばりすぎた」


 緊張感がまるでない。でも、人が生死をわける瞬間なんて、ポヨイちゃんには日常だ。

 

「ぶはははは」

「きさまの心臓を我らの神に捧げるのだ」

「神のため命を捧げよ」

「ひ、ひいいいい!」


 やばい! 30代のサラリーマンがカルト教団の教徒たちに命を脅かされている!


「まてー!」

「なんだ!?」


 きたー! 我らがスーパーヒーローポヨイちゃん! 果たして勝つことはできるのか!?


「人のホルモン焼きはやめろー!」

「ちがうちがう、神に捧げるんだってば」

「まちがえちゃったてへへ」


 ポヨイちゃんは赤面した!


「これは神聖なる儀式なのだ 邪魔をすると神はお怒りになられるぞ」

「そうすっとどうなるの」

「きさまに不幸が舞い降りるぞ」

「その儀式の邪魔を食い止められなったあんたらも同じなんじゃないわけ?」

「あ」


 ポヨイちゃんは教徒たちを論破した!


「まあいい! きさまの心臓も捧げてくれる」


 教徒たちはメイスを振りかざし、ポヨイちゃんに向かってきた!


「ポヨポヨ鎖鎌!」


 ポヨイちゃんは鎖鎌の分銅を振り回し、メイスを絡め取ろうとしたが、メイスには効果がなかった!


「すきあり!」

「ぼへー!」


 ぽよいちゃんのぽよぽよの乳房にメイスがあたった!

 だが乳房の弾力によってメイスは押し返され、教徒の顔にメイスがめり込んだ!

 

「ぐああああ!」

「うえええええグロい!」


 ポヨイちゃんの口からさっき食べた食パンと昨日食べたラーメンがでてきた!


「うわー! ついた! こいつほとんど咀嚼してねーのかー! なるとがそのまんまの形を保っているじゃねーか!」

「ごめーん!」


 ポヨイちゃんは申し訳なくなってきて、なるとをつまんでぱくっと食べてしまった!


「きめー! 食いやがった!」

「いまだ!」


 ポヨイちゃんは技を繰り出した!


「ポヨポヨ尿管結石アタック!」

「うああああああああ!」


 教徒達は激痛に悶え苦しんだ!

 こうしてサラリーマンは救われた!


「大丈夫?」

「あ、ありがとうございました」

「すいません、スーツのここにシミが」

「あ~……」

「ポヨポヨクリーニング!」


 サラリーマンのスーツがきれいになった!


「こ、これで会議に間に合います! あ、あの、ぜひ今度お礼を……お食事でも」

「結構ですよ」

「な、なぜですか!」

「えげつないくらい食いますから」

「はあ、なるほ……ああ、いや……すいません」

「それより、今は物騒だから、これをもっておきなさい」


 ポヨイちゃんは黒を基調としたシックな色合いのメリケンサックを渡して去っていった!



 ポヨイちゃん、家の近くの飲食店を6軒はしごしてそこそこ満腹になったみたい。

 

「今日も人助けができてよかったー」

「ふああ、そうだ、明日は神社にお参りにいこうっと」


 ポヨイちゃんはベッドに横になり、すやすやと寝息を立て始めた……。

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