第45話
講堂はざわめいていた。
そりゃそうさ。今まで経験した事の無い慰問…常識を考えたら有り得ない事だからね。
でも俺はもう驚きなんてとっくに忘れてた。
いち、reggaeファンとして、次は誰なんだろうって。
もう久々にダンスに来た気持ちになっていたんだ。
「今のNATURAL WEAPONがヤバかったと思う奴はガンフィンガーを見せてくれぇ!」
…RATさん、分かる訳無いって…えっ?
次の瞬間、俺は目の前に移った光景に目を疑った。
一人、また一人と見よう見まねでガンフィンガーを挙げている。しかも一人一人の目が生き生きと輝いているんだ。
昔俺は世話になってるSPcrewのCO-G君に言われた事があった。
[TOY、REGGAEって言うのは音楽であり、生き方その物なんだ。REGGAEには人生観を変える何かがある…]
こういう事なんだな。
最高だよ。
「…んじゃあ、時間も無いし次のアーティストをどんどん紹介していくよ!次も次世代を代表する若手…
CHAN-D!!!」
CHAN-D…俺の地元山梨の横、静岡のdee jay。こいつとは腐れ縁ってゆーか…歌い手を始めた時期も一緒だし、良く酒を飲みながら悩みを相談し合ったもんだ。
さぁ…どれ位成長したんだ…見せてくれ…
無音の中CHAN-Dはステージに登場し、黙って一礼をすると俺の方を見た。
そして目が合った瞬間、左手で自分の目を大きく開かせた。
あいつ…ブリッてやがる…
まさか…
その瞬間にTaxi riddimが流れ、同時に自己紹介を終えた後に、この馬鹿は自分の持ち歌[連れの連れ]を歌い始めた。
「連れの連れ〜また連れそって/今日は刑務所の便所でキメてみてぇ…
pull up!!」
CHAN-Dよ…お願いだから捕まらないでくれ…
俺はハラハラしながらも兄弟の馬鹿加減に笑いを堪えながらガンフィンガーを挙げた。
「…まぁ、なんつーか、そんな感じですよ…
今日は時間も無いんで、次でファイナルチューンになるけど、こんな中にいるからこそ母ちゃんへのリスペクトは忘れないで欲しい。
big up all deクソ法律に やられたここにいる仲間達。must listen TOY MACHINE! riddim!
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