第44話

…それでは早速始めましょう!湘南少年刑務所、レゲエフェスティバル!









…えっ?








ゆっくりと幕が開き、徐々にステージが見えてきた。同時にBOB MARLEYのONE LOVEが流れた








まさか…








幕が完全に開いた時、俺は夢を見ているのかと思った。


ステージはPAPER MOONそのものだったんだ






そして何故か、DJブースにはRATさんがいる








ベタかもしれないけど俺は自分のほっぺたを強くつねった。







夢じゃなかった…







「YAH MAN!これから知ってる人も知らない人も楽しめる、この素晴らしいREGGAEという音楽を皆様にお届けしていきます!短い時間ですが、どうか楽しんで下さい!…面白いと思ったら、指でこの様に銃の形を作って挙げて下さい!それ位良いですよね?先生?」


処遇担当の主任はしぶしぶ頷いた


「それでは早速トップバッターを紹介しましょう!COME FROM大阪!NATURAL WEAPON!」



講堂に聞き慣れた、だけど久々に聞いたCOME DOWN RIDDIMと共に、俺の大阪の兄弟が登場した



「うわぁ…来てもうたでぇ…みんな顔めっちゃ怖い…」



こいつ誰だという顔をしながらもいきなりストレートに言われたもんで一気に笑いが起こった。BE-COREなんて感動しすぎて泣いてたよ



「まぁ、こんなとこで言ってえぇか分からんけれども…俺からハッキリ言わせて貰うわ








センシミーニャ/俺は大好きさぁ〜/一服したなら目は真っ赤…PULL UP!!!」








あのバカ…ちくしょう…カッコ良すぎるじゃねぇか…






講堂内でセンシミアって言葉を知ってる奴らは何人いただろう…でも確実に何人かはさっき教わったガンフィンガーを挙げていた。BE-COREはPOWPOW言い過ぎてオヤジに注意されていた


それからWEAPONはセンシミーニャを歌い上げステージを去った。途中途中のMCで会場を沸かせ、受刑者の心を掴んでいた。



しばらく見ない間に確実に上手くなっていた。



俺は何も出来ない虚しさと、俺の為にここまでやってくれる仲間達の熱さと、…とにかく色々な感情がごっちゃになって胸が焼けそうに熱かった。


ただ、改めて気付いた。俺はこのREGGAEという音楽から一生抜け出せないって事をね

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