第43話

「…TOYどこにおるよ?あれか?…ちゃうなぁ…」


「TOY君ヒゲ生えてないと分からないかも」


NATURAL WEAPONとCHAN-Dが話していると、後ろからメグが小さい声で叫んだ


「あ…来たぁ!」


講堂のステージの正面のドアから、ダルそうに歩いてくるTOYの姿を見つけた一同は、驚愕を受けた。


久々に見るTOYはヒゲは無く、ボーズになり、痩せこけた…というより引き締まっていた


「あれ…本当にTOY君っすか…?」


不思議そうにARAREが言うとメグが言った


「私は毎月会ってるんだから間違う筈無いでしょ…それにしても…みんな怖い…」


「確かに…」


一同が頷く中、PAPA-RATだけは、ただじーっとTOYを見ていた。


「RATさん…」


RATは歯を食いしばり、涙を溜めていた

「…今日は、思いっきりあいつを楽しませてやろう」


みな、真剣な表情に戻り、再び自分達の世界に入った



そんな中、WEAPONとCHAN-Dは担当官に言った


「すいません…お手洗いってどこですか?」


「あぁ、そこを曲がって左手の奥になります」


2人はトイレに走りこんだ。


「…誰も来てへん?」


「…あぁ、大丈夫」

2人は大便の方に入った。そして、パンツの中から一本のジョイントとライターを取り出し火を付けた


「いやぁ、多分刑務所の中で吸ったの俺達が初めてなんちゃう?」


「間違い無いね…これはある意味TOYの敵討ちだよ」


「やーまん」


2人は笑いながら講堂に戻り、担当官に勘ぐられない様に冷静を装っていた。しかし、他のメンバーからはすぐにバレた

「お前ら…」


「…やーまん」



一発づつRATからげんこつをくらい、ARAREと導楽からは何で誘ってくれなかったのかと恨まれた



「いいか…何回も言うが、今日はあからさまなチューンは禁止だぞ!」


RATにいくつかの注意事項と出演の順番を伝えられ、全員がスタンバった。






「黙想やめー!」






「…ただいまより、湘南少年刑務所、慰問を開始致します。まず、この慰問を開いて下さった植松弁護士から…」



固い話しが10分位続き、いよいよ慌ただしくなってきた



「以上で開催式を終わります。それでは早速初めましょう!湘南少年刑務所、レゲエフェスティバル!」


会場がざわめく中、下を俯いていたTOYが急に顔を上げた時の少年の様な瞳をメグは一生忘れないだろう

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