第23話
『…えっ?』
「えっ?じゃねぇよ。おぃ、てめぇらこいつには気を付けろよ!こいつは嘘つきだ。」
『ちょっと待ってくださ…』
「てめぇ部屋長がしゃべってる時に話し割って入るんじゃねぇぞコラ!!」
『…失礼しました…』
「…今こいつが歌ったのはTOY MACHINEて奴の歌なんだよ。山梨の…なんつったか名前忘れたけどよぉ…サウンドのDUB MIXに入ってる歌だよ。ちょっとレゲエ聞いてりゃそんな嘘分かんだよ!」
『いや…あの…』
「なんだこらサラ、言い訳しちゃうのかよ?」
『いや…何と言いますか…自分がそのTOY MACHINEなんです』
「…はぁ?てめぇこの期に及んで…」
「…まて!」
部屋長は棚から雑誌を取り出した。レゲエ雑誌の「RIKE」、最新号だった。
パラパラとめくってあるページで止まり、しばらくそれを眺めた後に少し考えてから口を開いた。
「…まぁいいわ、もう今日は止めだ。サラ、明日工場行ったら朝一で衛星台に呼ぶから来い。」
『…分かりました。』
その日はそれ以上誰も口を開かなかった。
翌日工場へ出役すると、昨日の話し通り俺は衛星に呼ばれた。
「おい…お前、本当にTOY MACHINEなのか?」
『はい、それだけは本当です。…ずっとRIKEは読んでいらしたのですか?』
「…あぁ、毎月出る度に差し入れで入れて貰ってる。」
『山梨レゲエ祭載ってましたよね?そしてTOYが急遽キャンセルになったって書いてなかったですか?…だから自分は今ここにいるんです。』
「…マジかよ。…ってかマジですか?」
『…はっ?』
「あの…覚えてますかね?青森のHIGH FIVEってSOUNDなんですけど…一回TOYさんにDUBを頼んで…」
何となく覚えてる。確か委託DUBを頼まれて送ったのに急に連絡がつかなくなったSOUNDだ。
「それ…自分です。」
『えぇ?それじゃ…』
「あの…TOY君…マジすいませんでした。ガンジャでやられて…んでマジすいませんなんですけど…」
『どうしたんですか?』
「一応この工場で自分TOPやらせて頂いているので…一応工場では…」
『勿論分かってますよ工場長、そこはしっかりします。』
「すぐには無理ですけど上手くTOY君の住みやすい環境作りますから!…その代わり…」
『その代わり…?』
「娑婆出たらDUB録って下さい」
…楽しくなりそうだ
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