第13話
「別れなさい…」
父親がヒステリックになったメグをなだめながらそう言った。
先週の事、TOYのブレジン、石川から上京してきたSINGER、MOEASTと久々に会った時に
「メグちゃんそう言えば面会行った?あいつ痩せたなぁ…なんやメグちゃんから手紙の返事こんって心配してたで…」
と言われたのである。
メグは面会が出来ないと言われてから何も連絡が来ないので、まだTOYとは会えないと思っていたのである。
…手紙?
家に帰るとすぐメグは母親に問い詰めた。そしたらやはりメグ宛てに届いたTOYからの手紙は父親に捨てられていたのである。
すぐさまメグはPAPA-RATに連絡をした。
「そうだったのか…TOYの嘆願書を集める為に全国を回ってて、今日久々に家に戻ったらTOYから手紙が何通も届いてたんだ。」
PAPA-RATは弁護士から聞いた話しと近況をメグに話した。
「…で、明日初公判があるんだ。あいつの為にもRAGGA CATも来てくれ!」
「私、絶対にTOYとは別れない!ずっと待ってる…」
メグの両親は大学の教師。幼い頃から英才教育を受け、バレエのお稽古も受けさせられていた。その稽古場で友達になったヒトミに誘われてメグはクラブへ行き、REGGAEと知り合ったのである。
ただでさえREGGAE DANCERをやる事を猛反対していたのにも関わらず、今度はそこで知り合った彼氏が捕まったと言うのだ。父親が許す筈が無い。
「冷静になって考えろ!そんな男に将来は無い!夢ばかり見て熱に浮かされてないで現実を見ろ!」
メグは父親の言う事が間違っていないと分かっていた。でも分かっていてもTOYと別れるなんて事なんて考えられなかった。
部屋に閉じこもって泣いていると、小さくドアをノックする音が聞こえた。
「メグ、お父さんの気持ちも分かってあげて。…でもね、あなたの人生なの。もう子供じゃないんだから…自分で決めなさい」
ドア越しにメグの母親はそう言って去って言った。
…お母さん…
メグは親が大好きだった。1人娘と言う事もあり、大切に、大切に育てられてきた。…私がこれ以上ワガママを言ったら絶対に悲しませるだろう…
でも…
TOYの初公判の日の明朝、メグの家の扉が静かに開いた。空になったメグの部屋にはTOYのDO IT MYSELFが流れっぱなしになっていた。
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