天才としての苦労をしてきた主人公と凡人ながらも努力をしてきた幼馴染。そのどちらにも感情移入でき、作品に入り込むことができるという点が本当に素晴らしかった。誰にでもある辛さや、その人にしか分かり得ない苦悩というのを、文字で、言葉で表現するのがこの作者は本当に上手で、今作もその一片を見ることができた。嫉妬や憎悪、上記のような辛さや苦悩というのは、ある意味最も人間らしい感情と言える。それをここまで情緒的に訴えられる彼の文に、彼の人間性を見ることもできるのではないだろうか。