第59話両生類

初夏にはまだ早い時期に転校生が来た。


そしてその転校生は、卓球部に入部した。


荒井淳。


全中の決勝戦でゆうに負けた相手だった。


淳は、特に野球ゲームばかりしているゆうにはそんなに興味が無いようだ。


部活も真面目に参加している。


「今、試合したらゆう君負けるかもね。」


渚は、最近、前よりさらにゆうに突っかかるようになった。


ゆうは、ゲームに夢中で何も答えない。


ある日、淳からゆうは、渚を賭けて勝負しようと言われた。


ゆうは、意外にも勝負に応えた。


淳のペースで試合は始まった。


フルセットで淳はゆうに負けた。


「何で手加減した?」


と淳はゆうの胸ぐらを掴んだ。


「お前が弱いだけだろ?」


と言ってゆうは、淳の腕を払いのけた。


「ゆう君!久しぶりに楽しめた?」


と渚が聞いて来た。


「全然、あいつ卓球から一年は離れてたな。腕が落ちてる。」


「そうかと思った。全中の時はゆう君と最後まで互角だったもんね。」


数週間して淳は部室に女を連れ込んで来た。


「お前もかよ。」


と言ってゲームをしていたゆうは、部室から出て行った。



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