意味不明


「初対面で申し訳ない。私とー……


結婚してくれないか。」


「は????」


「あぁ勿論、君の姉の非礼はお詫びしなくていい。私への不敬は君ではなく君の姉なのだからな。」

……大丈夫かこの脳みそお花畑野郎アホ王子は。突然の求婚に加えてさらっとシャルロットをディスってない?

…だけど。メノウはどうなんだ。何故……

やはり。口を開けて驚いている。私もそんなくらい驚いてるよ。

「……絶対嫌です。」

「良いんだ。姉に悪い、等という概念は捨てて。私は君が好きなんだ。一目惚れだよ。」

「……いや、普通に嫌なんですけど。

それにあちらのメノウさんはどうなんですの?まさかの二股ですか?」

「……そっ、そうですよぅ殿下ぁ!私を捨てるんですかぁっ?」

「……すまないなメノウ。私はリヴェラ嬢と共に時を歩んで……」

「いやいやいやいや。なんで勝手に話を進めるんですか?私、結婚に承諾なんてしてませんが。」

「あ、あれ本気だったのか?」

「ええ勿論。」

「そんな……。」

え、逆に本気じゃないとでも思ったのか??

どんだけ頭可笑しいんだこの王子は。

それにこの男、フラれた経験など全くないだろうから余計に傷付いたか?

「それでは殿下、メノウさん。皆様。

御機嫌よう。」

鼻で笑うように後ろを振り返り歩く。

最も、その鼻で笑った事は凄い形相で睨んでくるメノウしか知らないだろう。

周りはガヤガヤと話しているし、殿下はショックで膝から崩れ落ちてるし。

そんなに、化粧落とすと良く見えるんだな……。

あ、髪の色変えてるからかな?……まぁいいか。

そう思い私は早歩きで寮へと戻った。






+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


翌日、寮から出て、登校している時。事件は起きた。

「リヴェラ嬢!」

出来れば朝っぱらから聞きたくなかった声。

その主は……

「良ければ一緒にどうだろうか?」

「すみませんがお断りしますわ。」

だって……怖いじゃん……他の令嬢もだが、何より横にいるノエルが怖い。

何を考えているのか全く分からない顔をしている。


「ねぇ。」

「はいっ!?」

「僕の顔になんかついてる?」

「いっ、いえ!」

「あそ。」


こっっわ!!

え、「恋の花が咲く頃に」のノエルってこんな怖かった???いや、優しいのはヒロインにだけ……的な??


「殿下ぁ〜っ!ノエル様ぁ〜っ!」


甘ったるい猫撫で声で叫びながら此方へ向かってくるメノウヒロイン

パッとノエルの顔が明るくなり、メノウの元へ向かう。

「メノウ!」

「どうしたんですかぁ殿下ぁ……。

前は毎日迎えに来てくれたのにぃ……」

「……あぁ、すまない。」

「……ほんとに、その女リヴェラと結婚なさるつもりですか。」

「あぁ、リヴェラの気が俺に向いてくれればの話だが……」

「……っ」

まぁ一生そんな日は来ないのだが。

それより……

ノエルが可哀想すぎる……

メノウと名前を呼び、嬉しそうに手を出すノエルを無視し、何故か私の隣を歩く殿下の方に行ってしまったメノウ。そしてそんなメノウに素っ気ない態度を取る王子。


「~っ、グロリス!!!」


グロリス……って殿下の名前じゃないか。

殿下がピクリと反応する。

「……メノウ、不敬な言動は慎むといい。」

「…どうして?私だけに許された名前呼びを……ここでは言っていけないと?」

「……もう俺の名前で呼ばないでくれ。変な誤解をされても、もう困る。では、失礼するよメノウ

そう言い放つと、殿下はにげるように去っていった。

「どっ、どうして……どうして……?

ちゃんとシナリオ通りに……あの女が来てからシナリオが全て狂った……。」

「……メノウ……?」

ノエルの心配する言葉も無視し、メノウは走り去っていった。

いやさっきからノエルが可哀想だよ!!!

「……あの、ノエル様、大丈夫ですか。」

「……は?」

「……いえ。ただ……」

「……っへぇ〜。殿下を誑かしたその技で、僕もオトそうってワケ?義理とはいえ、流石あの悪女、シャルロットの妹だね。」

ほぉ。これはひねくれておりますな。

別にこの人に嫌われてもどってことないんだけど、なーんか腹立つなぁ。


「魂胆がバレて固まってるってワケ?

ほーんと、君たちの親はどういう育てかたしてんの?ディアメイル公爵と公爵夫人の事だから、どうせ甘やかされて育ったんでしょう。親バカって噂だし……」


パァン


「お父様とお母様の事をよく知りもしないで、勝手に侮辱しないで頂戴!!!!」


……あれ?今私、何した?何言った?

ノエルが頬を押さえて倒れ込んでいる様だけど…。

まさか、ビンタした?私。ノエルに。

あっはっは〜!昨日も今日もビンタだなんて、ビンタが流行ってるのかしらっ☆

……なーんて考えは捨てよう。

私は無意識に、ノエルを叩き、侮辱するな、と言った。言ったけど、きっと行動したのは私の中の、本当のシャルロットだろう。

シャルロットは、愛をくれる親にもきつくあたる最低だと思っていた。

でも本当は、親が愛してくれるように、シャルロットも親を愛していた。だからこんなことまで……。

人が集まってきてマズいと思い、私は教室へと急いだ。

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