私ではない人へ
「それは本当かい?シャルロット。」
「お父様……。」
ゾクゾクと寒気立ってくる。
「……本当ですし、本気です。……どうか、お許し下さいませ。」
「……」
顔が暗い。
やはり駄目だろうか。無茶だし、前代未聞の提案だ。
「……シャルロット。決めた事は、きちんとするんだよ。お父様は、応援してる。……頑張りなさい。そして、これから「リヴェラ・ディアメイル」と名乗るように。染め粉を買ってきた方がいいかい?
お父様が髪の毛と瞳の色を変える魔法でもかけようか。」
「ありがとうございます。恩にきりますわ。
……それではお父様、魔法をかけてくださいませ。」
すっと頭を下げる。
「……待って。この「シャルロット」を目に焼き付ける。目と髪の毛の色はどんな色が良い?」
色の希望……前世で好きだった色なんてないけど……。
「……お父様と、同じ色が良いです。」
「……っあー。シャルロットがいつになく素直!!!!可愛い!!!!
……ゴホン。じゃあかけるよ。」
スっと私は頭を下げる。
“シャルロット”は金髪赤目のお母様似。
だから“リヴェラ”は銀髪金目のお父様似にしたかった。
頭を下げた時にたらりと垂れてきた金の髪が、スゥ……と銀色に変わっていくのが分かる。
「はい。もう完璧だと思うよ。顔を上げて鏡を見てご覧。」
頭を上げる。
正面を見るとお父様が鏡を持って立っていた。
鏡に映る自分を見ると、なんだか別人の様に思えた。
ただ、髪の毛の色と目の色が変わっただけなのに。
…でも、年齢は変えられないから、腹違いの娘として過ごせば良いわよね。
さて。
色々と準備を進めなければ。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「殿下。あのシャルロットが死んだらしいですよ」
「ようやく俺の前から消えたか。俺の愛するメノウを虐めて、俺に付きまとってくる。ケバケバしいし、香水の匂いがキツすぎる。邪魔なゴミがゴミ箱に捨てられたような感じだな。」
「殿下ひどーい。でも、胸だけは大きかったですよね。寧ろ、胸しか取り柄がない的な??」
「殿下ぁ〜!ノエル様〜!シャルロット様がぁ、亡くなったってぇ、本当ですかぁ?」
「あぁメノウ。ようやく死んだよ。俺達は平穏に暮らせる。」
「メノウー!今日も可愛いねー。メノウこそ、ザ・乙女!まさに花だよね。」
「えぇ〜なにそれぇ〜私が花ぁ?メノウ嬉しいぃ〜」
「ノエル、お前な……あまり俺のメノウを誑かすなよ。」
「ちぇー。……あ、そういえば!シャルロットの義妹が来るらしいです。シャルロットみたいじゃないと良いですけどねー。」
ピクリ。
メノウと呼ばれる女が止まる。
すぐにまた笑みを浮かべて話す。
「えぇ〜、シャルロット様のぉ、妹さんなんてぇ、怖いですぅ〜。どんな性格かもぉ、分かりませんしぃ、殿下を狙っているかもぉ、しれないじゃないですかぁ。」
「俺は誰にも靡かないよ。君だけだ。メノウ。」
「きゃ〜!殿下かっこいぃ〜!
……あぁそうそう。私ぃ、呼ばれてたんだぁ。2人の声が聞こえちゃったからぁ、つい来ちゃったぁ。じゃあねぇ2人とも〜」
「癒しだなぁ。メノウは。シャルロットとは大違いだ。」
「あぁ、その妹の名前は、確か“リヴェラ”と言う名前でしたよ。なんでも父親似だとか。」
「…どうでもいい。さぁ、仕事を再開するぞ。」
「えぇ〜。殿下が全部やればいいのにー。」
「俺1人で出来るか。」
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