#7 Later Festival

そんなこんなで遂にマハラガーンが始まった。

リーたち出場選手は1週間に渡り戦い抜き、そして最終日を迎えた。

で、パラディーゾ1年生、男子の部はリーが優勝した。

で、1年生女子の部はレスリーが優勝した。


その後、他6校との代表選手と戦い…

結果、その最終トーナメントでも1年生の部でリーとレスリーはそれぞれ優勝したのだった。


……いや本当に厳しい戦いだったのよ?

ドラゴンから金の卵を奪ったり、水中人マーピープルに捕まった大事な人を助け出したり、動く巨大迷路を進んだり…(嘘)


そして決勝戦を終えた夜は、国を挙げての大宴会だった。

そりゃもう、あちこちで飲めや食えや歌えや踊れや遊べや…でも羽目は外し過ぎるなのドッタンバッタン大騒ぎだった。

リー達のいるパラディーゾには王宮や開拓軍関係者がお祝いに駆け付け、その中にはブリッツクリーグ大尉もいた。


「おめでとう!いやはや本当におめでとう!」

大尉は熱烈な握手と称賛の言葉を浴びせてきた。

「ど…どうも…」

リーは既に宴の熱気にすっかりのぼせていた。


「祝いの品としても私から素晴らしいご馳走をご用意致しましたぞ!これへ!」

大尉が合図するとガラガラと大きな檻が運ばれてきた。

中には、あのケルドが何十匹も入っている。

「これから、このケルドたちを順次調理させますぞ。皆さんでお召し上がりください!」

歓声が起きた。


その後、次々に運ばれてきたケルド料理はどれも美味かった。

レスリーもマックスも皆気に入った様で大満足だった。

宴は朝まで続いた。


流石に疲れ果てた為、リーは宴席を抜けて自室に戻って寝ようとした。

すると、レスリーも廊下にいる事に気付いた。

「やあリー君」

「やあ…レスリー」

「あたし、疲れたからもう寝るわ。あなたは?」

「僕も…寝るよ…」

「そう…」

二人はその後並んで廊下を歩いた。

「本当に、すごかったよね、マハラガーン。それに、今夜の宴も」とレスリーが話しかけてきた。

「うん、そうだね」

最低限の相槌を打つのが精一杯になってるリー。


「試合でのあなた、かっこよかったわ」


「……」

突然の言に言葉に迷ったリー。

「あ…ありがとう」

君もかっこよかったよ…等と続けるべきかも知れなかったがリーの口から出たのはそれだけだった。

気づけば、もう寮の前だった。

「それじゃあね、おやすみ」

「うん。おやすみ……」

レスリーは笑顔で手を振り女子寮に入って行った。

それを暫し名残惜しそうに見送った後、リーも寮に入り自室のベッドに潜り込み、静かに眠りに着いた。


マックスが自室に帰って来たのはその30分位後だった。

「お、チャンピオン様はお休みか。お疲れさん」

起こさぬ様に静かにそう言うと、彼も眠りに着いた。


(それにしても、あのケルドってのは美味かったな……また食べたいな……そういや、檻に入れられて運ばれてきた時、あいつらの中に、ずっと変な鳴き声を上げてたのがいたな……えっと確か……)



『タスケテ……タスケテ……』



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る