第6話


食卓に下りる。


既に、お姉ちゃんが用意してくれていた。

嬉しいのだが、申し訳ない。


父さんが、新聞を読んでいた。

既に、お姉ちゃんは、いなかった。


「父さん、お早う」

「お早う、秀一。聖良さんから、冷めないうちにだそうだ」

「わかった」


美味しくいただこう。


「父さん」

「どうした?」

「聖良さんの、顔は見えてるの?」

「お前には、見えないか・・・」

「わかるの?」

「ああ。聖良さんが、嘆いていた」

「そう・・・」


どういう事だろう?

過去に会った事があるのか?

本当に気になる。


「秀一」

「何?」

「聖良さんは、どこの学校へ行くかわかるか?」

「いや、訊いてないけど・・・大学?」

「ああ短大だ」

「短大?」

「保育士になりたいそうだ」

「そう・・・」


かなりストレスがたまって大変な仕事だ。


「父さん、ひとつ訊きたい」

「何だ?」

「僕は、聖良さんとは、本当に会っているの」

「ああ。会ってる」

「現世で?」

「もちろんだ」

そして、もうひとつ訊いた。


「地球人ではないらしいが・・・」

「訊いてたか・・・そう、聖良さんは、地球育ちだが地球人ではない」


もっと訊きたいが、やめておいた。


しばらくは、お姉ちゃんとは言葉は交わすが、姿を見ないことが多かった。

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