第5話

僕が生まれるかなり前に、ある漫画があった。


地球人の女の子が、宇宙人の王子様から求婚されるが、

その正体は、わからない。

作者逝去により、未完に終わり、王子様の正体は不明のままになった。


まあ、それとは違うが・・・


「秀一くん、いる?」

お姉ちゃんが、ドアの向こうから、声をかけてくる。


ドアを開けようとするが・・・


「そのままでいいから、聞いて」

「何?」

「秀一くん、私の顔、わかる?」

唐突になんだ?


わからないと、正直に答えた。

朝に会ったが、そこだけなぜか、こぼれ落ちてると・・・


「だよね」

「どうして?」

「君が、私を思い出すまで、見えないようにしてあるから・・・」

「してあるって、人間じゃないみたいだね」

「そうだよ」


その言葉に、驚く。


「私は、人間では、正しくは地球人じゃない。でも、地球育ちで、君とは会ってる」

「お姉ちゃんは?」


ドアの向こうから、お姉ちゃんが何をしてのかは、わかった。


「君が、自分で思い出してくれるのを、信じてる。

そしたら、私の顔が見えるようになるよ・・・」


どうやって、思い出すんだ?


「ところで、お姉ちゃん」

「何?」

「今は、制服?」

「まさか、パジャマだよ」


確かにね・・・


「じゃあ、私は勉強するね。秀一くんも、夜更かししないように・・・」

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