第7話
「学校に行きたい。〇〇が通ってた高校?ってやつに」
「え?」
ちょっと何を言っているのかよく分からないが、ウルズルの目が光り輝いていることだけは視覚的に理解出来た。
「お前、なんで急にそんなこと」
「いいじゃん、行きたいもんは行きたいんだよー!」
「そんなこといったって、俺は今や部外者で、世間で1番煙たがられる無職なんだぞ。関係者に見つかったら即通報で警察の方々のお世話になっちまうわ」
ウルズルの、あまりにも変化球すぎる発言に動揺したが、かろうじて御託を並べることに成功した。そういった口喧嘩的な反駁には定評があることで有名です。いや有名じゃないけど。
「ガタガタぬかすな!うっさいわ!」
ウルズルは今にも殴りかかってきそうな形相でこちらを見ている。そもそも、こいつは口喧嘩するよりも殴り合いの喧嘩がお得意なようで。
「わ、分かったよ。でも、捕まる可能性があるのは事実だ」
「案ずるな、私には使える能力があるだろう」
えっへん、と言わんばかりに腕を組み、余裕綽々の形相を醸し出す。え、ちょっとかわいい。
「透過能力か。あれフェルニルだけの能力かと思ってたけど」
「フェルニルに出来て私に出来ないことなんてない。これで万事解決。次は行動に移すのみだ。世の中は個人を待ってくれる程停滞していないぞっ!」
「おい、お前はいいかもしれんが、俺はどうするんだ?透過出来ないけど」
ウルズルは視線を明後日の方向に向けた後、返答をせずに俺の服の裾を引っ張り始める。
「ウダウダ言ってないで、行くぞ!」
時計の短針は2時を指していた。
行きたくないけど行くしかないのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます