第47話 魂と情熱

 魂を否定する情熱。

 魂を否定する解説。

 二十一世紀になっても、魂への信仰はなくならない。しかし、二十一世紀人が語る魂は、少し意味がちがうのではないか。

 二十一世紀になっても、教師や科学者は、教え子に魂を熱く語る。ここでの魂は、情熱の象徴である。情熱の引き金である。

 現代人は、未知なる自己の意志のために、魂を肯定する。

 それはひねくれた逆張りだ。

 正しい意味の魂を、砕けた意味の魂にするにはどうしたらよいか。それは、正しい意味の魂に対する情熱を、砕けた意味の魂に対する情熱で圧倒する必要がある。

 論理の否定ではダメだ。

 人類史の中で、正しい魂への情熱を砕けた魂への情熱が圧倒する必要がある。

 そうなったら、魂の意味は、かつての意味ではなく、情熱の象徴に変わるのだ。

 魂の正統と異端が変わるのだ。

 おお! 魂に代わる情熱よ。

 おお! 魂に代わる人間性よ。

 さらに問う。

 正しい意味の魂ではなく、砕けた意味の魂を否定するにはどうしたらよいか。

 情熱という意味の魂を否定するには、自己の確信を持った意志が、未知なる自己の意志を圧倒する必要がある。

 既知なる意志への情熱が、未知なる意志への情熱に勝らなければならない。

 自分の意志に確信を持たなければならないのだ。

 それができれば砕けた意味の魂を克服したものだ。

 だけど、未知なる意志は永久に不滅だ。

 情熱を永遠に存続させろ。

 そんなことは嘘だけど。

 肉体の死後も、情熱を存続させろ。

 そんなことは嘘だけど。

 天国には情熱しか入れない。

 そんなことは嘘だけど。

 神が情熱を裁く。

 そんなことは嘘だけど。

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