第41話 弱者の衣装
1、旧約以前
神は自分で自分の服を作る。
天地創造の前に、神は自分で自分の服を作った。
神の衣装は、仮面(ペルソナ)である。
神の仮面は、弱者のそれだった。
2、永遠の味
神による創造の目的は、永遠の味の調理だった。
神の永遠の意志により調理された被造物は、永遠の味がする。
料理のために、永遠の怒りで破壊する。
それは、愛という名の攻撃だ。
この宇宙にまちがいなく起こる未来を予測できるものがいるか。
わたしは何度考えても、それをひとつも思いつくことができない。
3、奴隷ひとりに等価なもの
ある奴隷は、法に反して生まれた。
「聖天使城の娘に許可なく触れてはならない」という戒律に反して生まれたため、生まれながらに奴隷だった。
聖天使城の娘は、奴隷を出産してから訴えた。
「誰が神であるのか」
それを聞いたものは、さまざまな者を指さして、あれが神だといった。
娘はいった。
「神は弱者の仮面(ペルソナ)を身にまとっておられる。わたしが産んだ奴隷が、なぜ神でないといえるのか」
呪医が答えた。
「ならば、おまえからその奴隷を取り上げよう。その代わりに、創造の秘跡を受け取るがよい。おまえの子供、その奴隷ひとりに等価なものを受け取るがいい。おまえの子供が神であるならば、奴隷ひとりに等価なものとして、神の取り分が与えられるだろう」
そして、娘は、奴隷ひとりに等価なものとして、神そのものを受け取った。
それを総教主が記録した。
「わたしの奴隷はどうなるのだ」
娘が聞くと、
「安心するがいい。神に等しいものとして生きるだろう」
と、呪医が答えた。
4、原初の観測
地上に永遠が干渉している。
我々は地上で永遠を探す。
永遠は、宇宙の誕生における弱者のことを伝えている。
永遠の観測隊は、宇宙の原初にいた弱者に注目している。
弱者が神の仮面であることを期待して、神が旧約以前に作った服を想像する。
無限の未来でも安定する物体は、永遠の味がする。
たぶん、神が食べるんだ。
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