第40話 サルと栄光

 犯罪結社「ジェノグローリー」は「サルを絶滅させる」と宣言した。ジェノグローリーのいうサルの中に人類が含まれるのかどうかが話題になった。

「サルを殺すには税金がかかるよ」

「なぜサルを殺すのですか」

「それは、サルが劣等だからだ」

 犯罪結社「ジェノグローリー」は、人類の定義を明確にした後、サルの定義を破壊した。


 人類の定義:道具を使い、言語を話す二足歩行生物。文明種。

 サルの定義:自分を人類だというすべてのサル。


 そして、ジェノグローリーとサルの戦争が始まった。サルには、ワイルドモンキー、イエローモンキー、ホワイトモンキー、ブラックモンキーがいて、ジェノグローリーはそのすべてを絶滅させようとした。人類はサルの定義を失い、テレビで人類はサルだったと報じられた。サルたちは、いざ絶滅させられそうになると、凄腕のサルたちが銃器を持って抵抗した。

 戦争は三十年続き、新しい子供たちは、学校で自分たちはサルだったと教えられて育った。人類は何がサルだったかわからなくなり、自分たちは生まれつきサルだったのではないかと考えるようになった。人類が自分たちを統治するものを探したところ、それは三百匹のサルの議会だった。

「気付いたか、人類よ。サルの方が高貴だったと」

 ジェノグローリーは、人類を支配していたのがサルの議会だと知り、自分たちの戦争に勝利しなければならないと気付いた。ワイルドモンキーは予想外にしぶとく、手強く、ジェノグローリーはワイルドモンキーに破れた。

 ジェノグローリーはいった。

「すまねえ。すでにおれにも誰がサルかわからねえ」

 そして、最後にワイルドモンキーが残った。

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