第5話 再開そして敵対
ゾックとの遭遇以降何も問題なく進み、国営やばい研究所までたどり着いた。
「到着です~」
「お疲れさまでした」
「はい~ではありがとうございました~」
ハナとの挨拶を済ませたナホミは試練は終わったものと思い運転手に村へ帰ること告げた。
しかし、試練は終わらなかった。
「ちょっと待ちな」
「なんですか~」
「その人物をこちらへ渡せ」
「それはできません~」
「いいからよこせ」
「駄目ですよ~」
ハナと何者かの不穏なやり取りを聞きつけたナホミはその場に割って入った。
「ちょっとやめてください」
「クッ」
すると、何者かのつけていたマスクが剥がれ素顔が現れた。
「ユージィ?」
「……」
「ユージィだよね」
「ああ」
何者かはナホミの幼馴染であるユージィだった。
「何してるの?」
「男を研究所へ連れて行かせるわけにはいかないんだ」
「なんで?」
「それは……」
ユージィはナホミより一足先に同じ試練を終えていた。それから連れて行かれた者の結末を知っていた。そして、結末をナホミに知られるわけにはいけないと考えた。
残念ながら、ナホミはユージィの思いなど知らない。
「そっか、ユージィも試験官なんだね」
「え、あ、ああ、そうだ」
「やっぱり、ハナさん下がってて」
「なんだかわかりませんがそうさせてもらいます~」
ハナは試験の概要を知っているため突然の内容以外の出来事に混乱していたが戦う能力が無い為流れるがままに身を任せた。
そうして、ナホミの勘違いによりナホミとユージィのゾック争奪戦が始まった。
戦いはあっという間に終わった。
「捕縛!」
「キャアッ」
序盤はユージィ優勢で進んだ戦いだったが、
「捕縛術!」
「ガッ」
ユージィとナホミの才能の差は埋められなかった。
ユージィは幼少時ナホミによって怪我をしたものの人生を諦めたわけではなかった。
むしろその逆でナホミを守るために強くあろうとした。
「電撃!」
過去の出来事を乗り越え同じことが起きたとしてもナホミを守るために。
「土流術」
「クッ」
ナホミのような才能を持たなかったものの努力によって村ではナホミ以外には実力で上回ることもできた。
ただし、ナホミにはやはり勝てなかった。
「捕縛術!」
「ガアッ」
ユージィの中にはナホミを傷つけてまでゾックを奪う気持ちはなかった。
「それじゃあ、通ってもいいよね」
「ああ、俺の負けさ」
ユージィは力及ばずその場に倒れた。
ナホミはそうしてユージィを乗り越え国営やばい研究所へゾックを届けた。
「これで終わりですね」
「はい~ありがとうございました~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます