宗谷本線は想いをのせて

増田朋美

宗谷本線は想いをのせて

宗谷本線は想いをのせて

名寄のショッピングモールにある書店に、その本があった。タイトルは、「花を入れて喜ぶ人々」。著者は、古川涼という人であった。その人は、全盲であったが、悩んでいる人たちの話を聞いてやることを、主な生業としていた。その話を聞いてやっている女性たちのことを、物語風にまとめた本なのであるが、勝代が求めていたのは、その物語ではない。

勝代は、その本の278ページを開いた。そうこのページが一番大切なんだ。そのページに、誰が撮影したのかは知らないが、女性の背中が写っている。そこには、赤いバラの花。そして隅の方に小さな文字で、「刺青、彫たつ、静岡県」と書いてある。ああ、これか、蘭さんが入れた、赤いバラ。勝代はそのバラを、じっと見つめた。いくら遠く離れたところにいるからと言っても、やっぱり蘭さんはあこがれの人。それは、どんなことがあっても、変わらないだろう。

いつの日か、蘭にこっそり送ったメールで、蘭が、今度自分の入れた刺青が、一枚だけだけど本になって、掲載されるという事を書いていたのだ。蘭は、もうメールなんか出さないでくれという感じだったけど、勝代は、まだ許しが出るのなら、メールをまだ続けたいと思っていた。あの時蘭さんに愛人を作るなんて到底無理ねと罵ったけど、やっぱり自分はまだ蘭さんの事が好きだ。そう思ってしまう。

本屋の店員が、この人、どのくらい立ち読みしたら気が済むんだ?という顔で勝代を見た。勝代は、もう帰らなきゃとすぐわかって、急いで、レジに向かった。その本は、単行本であって、文庫本ではないので、一冊2500円もしてしまったが、蘭さんに会えるなら、そのくらい払ってもよかった。おつりをもらうのも忘れて、勝代は本を受け取り、そそくさと帰る。

車で走っていると、名寄駅のまえを通りかかった。そういえば蘭さん、この駅の次の駅である、東風連駅に来てくれたんだっけね。その時、マークさんという人が一緒だったっけな。確か、一時間に一本しか電車が走ってなくて、しかも、数時間電車が走っていない時間があると聞いて、おどろいていたなあ。マークさんは、おもしろがっていたけれど。勝代は、蘭さんの顔をありありと思い出していた。

もうしばらく道路を走っていくと、ガタンゴトンと後方から音がした。疲れた顔をした、おんぼろな一両しかない無人の電車が、重たそうにお尻を揺らして、フウラフウラと走ってくるのだ。それでも車よりはスピードがあって、ガタンゴトン、フウラフウラと勝代の車を追い越して、東風連駅まで行ってしまった。

「あーあ、いくら本数がないと言っても、クルマより早く目的地まで運んでくれるんだわ。」

こう考えると、いくら車があっても、電車というものが必要になってくるなあと、勝代は思うのだった。

不意に後ろからクラクションを鳴らされて、勝代は、急いで車を走らせる。何だか電車に見とれて、車を走らせるのを忘れていたらしい。

後の車に、あおり運転されたような気持ちで、勝代は東風連駅近くにある自宅へ帰った。名寄

駅に比べたら、本当に小さな駅だけど、勝代はなぜかこの駅が好きだったのである。自宅へ帰ると、家の中に、自分が刺青を入れた人たちと一緒に撮った記念写真が置いてある。その人たちは、みんな嬉しそうな顔をしているが、その人達に自分が彫った刺青なんて、まだまだ蘭さんの刺青に及ばないな、何て考えていた。

「ただいま。」

夫の正祐が、仕事から戻ってきた。最近は職場復帰してもいいと、お医者さんに言われて、慣らし運転的に短時間だけ会社に行っている。

「何を見てたんだ?」

勝代は、またばれてしまったかと頭を垂れた。別に夫は、それを咎めるようなことはしないけれど、別の意味で勝代をつらい気持ちさせるときがある。

「まだ、忘れられないのか。」

正祐は、一寸溜息をついた。

「まあ、確かに、足は悪いが、お前のことを心から応援してくれているみたいだったからな。」

正祐は、そういうことを言う。勝代は、そのせりふの魂胆がよくわからない。正祐は、俺に隠れて、そんな本を読んでまだあの男の事が忘れられないのか!と、怒鳴ることもしない。かといって、勝代の事を見て見ぬふりをしているようなそぶりを見せることもない。勝代は、出来る事ならそのどちらかにしてもらいたいのだけど、正祐の態度は次のようなものだった。

「お前、俺より、その男のほうがいいんだったら、中途半端なことはしなくてもいいんだぞ。」

「何を言ってるのよ、あたしがいないと、ちゃんと自己管理もできないくせに。」

勝代は、そう言い返すが、正祐はそれ以上の事は言わなかった。確かに、正祐は、まだ不自由なところが残っており、勝代の介護なしでは生きていかれないところもあった。だから、正祐は一言だけ言って、それ以上は言わないのだが、勝代はそれだけであると、何かムカつくというか、嫌な気がしてしまう。かえって、ぐちぐちと言われていたほうが、そのほうが良かったのかも知れない。たった一言だけというのは、かえって、困ったことになってしまう気がする。

「大丈夫よ。本の内容に見とれて買ってきただけの事よ。それに、あなたには、これ以上迷惑をかけることはできないでしょ。だから、もう気にしないで頂戴よ。」

そういうことを言うが、正祐はそれ以上何も言わず、勝手に冷蔵庫を開けて、食品を出した。基本的に、食事は勝代ではなく、正祐が担当することになっている。勝代は、夕食の時間帯に、刺青の依頼をしてくるお客さんが来ることがあるので。

食事の支度をしている時も、正祐は何も言わない。誰のおかげで食べさせてもらっているんだとか、そういう事も言わない。まるで、勝代が、蘭の方へ行ってしまうのは、仕方ないことだと思っているような態度である。其れはしかたないけど、そばに居させてくれよ、とでも言っているような気がしてしまうのだ。

「全く、あの人ったら、あたしのことを、何だと思っているのかしら。愛してくれているんだったら、もっと、強烈にアピールするとかするんじゃないかと思うんだけど?」

食事をし終えて、仕事場に戻ってきた勝代は、そんなことを呟きながら机の前に座る。勝代と正祐は、夫婦であっても部屋は別だった。今の時代ならさほど珍しいことではないが、正祐が夜半にも、パソコンをたたいて仕事をしている時があるので、あえて別にしているだけの事である。でもそれが、夫婦関係を淡泊にしてしまっていると、指摘されそうだなと思ったことはある。

もっと、直接的に、愛しているんだとアピールするとか、他に男何か作って!と激怒するとか、そういう事をしてほしいと思ったこともあるが、体の不自由な正祐は、そういうことは出来ないんだろうなと、半ばあきらめていた。でも、いざ、現実にそういう事が起きると、正祐に対して、不信感というか、そんなものを抱いてしまうのだった。

翌日、勝代は、また名寄近くのカフェに行った。今日は、刺青の依頼をしてくれた女性と、施術の事について打ち合わせが予定されていたためである。

「こんにちは、先生。」

勝代が、席に座って、その女性が来るのを待っていると、五分くらいして、彼女が到着した。まだ、結婚していないのか、指輪のはまっていない、若い女性だった。

「こんにちは。」

できる限り、勝代は、優しい顔をしていようと試みる。たぶんきっと彼女も、ひどくいじめられたりとか、必ず何かつらいことを背負って生きているという事を、勝代は知っていた。

「じゃあ、座って。気軽な気持ちでゆっくり話し合いましょう。刺青を入れるとなると、なんとも怖いなという印象があるかも知れないけど、そんなことは全然ないから、気軽な気持ちで話してね。」

「あの、先生、そのことなんですけど。」

と、その女性は言った。

「はあ、何でしょうか。」

「とりあえず、座りなさいな。」

先ず、勝代は彼女を、向かい側の席に座らせた。女性は、しぶしぶその席に座った。本当は、座るつもりなんかないと思っていたらしい。

「先生、先生がせっかく熱意をもって、説明して下さったのはうれしいのですが。」

と彼女はいいはじめた。なんだろうと勝代も身構えて聞く。

「先生、あたしやっぱり刺青というものはちょっと遠慮させて、、、。」

勝代は、がっかりというか、ちょっと落ち込んでしまうのである。

「どうしたの?痛いのが心配なら、筋彫りだけ機械彫りにしてもいいわよ。そのほうが、時間も短縮できるし、痛みもちょっと軽減されるかも。誰かの本に、歯並びが変わるほど痛いと書いてあるそうだけど、あんなのデマだと思ってくれて結構よ、最近のマシーンは、出来るだけ痛まないように、工夫されているから。」

とりあえずそういってみる。

「痛いとか、そういう事じゃないんです。」

と、彼女は言った。じゃあ何!と声を立てたくなったが、勝代はそれをこらえて黙っていた。

「どうしたの?あれほど、私は独りぼっちで、誰も私の事を愛してくれそうもないって、さんざん言っていたじゃない。だから、鳥さんに守ってもらいたいって、あたしのところに依頼をしてきて、、、。」

「確かにあたしは、そういいました。その気持ちに変わりはありません。でも、あたしはそれでよくても、うちの家族がだめなんですよ。やってはいけないとうるさくて。ごめんなさい。」

と、頭を下げる彼女。そういえば彼女は、ご両親と一緒に暮らしていたことを、勝代は思い出す。

「でも、あなた幾つよ。もう、二十歳は当のむかしに過ぎたでしょ?だから社会的には一応大人なんだし。だったらもう、自分の気持ちに正直に生きていいのよ。」

と、勝代は、そういってやるが、彼女はそうは行かないと思っているようだ。

「そうですけど、私はやっぱり父と母に養ってもらっている身分なんです。もし、住む家をなくしてしまったら、本当に行くところもなくなってしまいますし。いくらちょっとだけ社会に出て働いていると言っても、あたしはまだ親の力がないと生きていけないって、思いました。そりゃ、確かに、社会では、本当に見捨てられてしまったような存在であるのですが、でも、親はまだいるし、完全に捨てられたようなわけじゃないのでして、、、。」

本当は、彼女のような人は、親の法など振り向きもしないで飛び立ってくれたほうが、ずっと楽な人生になると思う。だけど、日本人特有の、親思いすぎるというのか、なんというのか、なぜか、その決定を先送りしてしまう人が多いのだ。特に女性はそうなりやすい。欧米人とはそこが違っていて、いざとなると決心が鈍り、親が反対しているからとか、そういうことを持ち出して、取りやめにしてしまうのだ。

「でも、これから、親が逝って、一人で生きていくことになったら、とてもやっていく自信がないので、せめて自分の背中だけでも、大好きな鳥の絵を入れてほしい、そうすれば、まだ守ってもらえている気がする。そう言ったのは、あなたなのよ。」

「ええ、そうです。でも、あたしは、親との生活を壊してしまいたくありません。いつかはそうなるのかも知れないけれど、今はまだ親もいて、一緒に暮らしていく必要はまだありますから。だから、あたしが、刺青を入れるのは、もうちょっと後にしたいと思います。」

そういうセリフを言うけれど、彼女は二度と自分の所には来ないだろうなと、勝代はおもった。そういう事をいう人は、大概本気になって彫りたいというわけではないということを、勝代は、長年の勘で知っている。

でも、彼女は、これで変わるきっかけを失う。刺青をして、背中や腕などに、神仏がかかわるものを入れてもらって、人生がずいぶん明るくなるという人は、何十人もいる。施術をし終って、私は、ずっと孤独な人生を生きていかなければならないでしょうけど、この花や鳥と一緒だと思えば、生きていかれます、と感想をいい、晴れやかな顔をして、帰っていく人もたくさん知っている。要は刺青をするというのは、自分の体に、自分を守ってくれる強いものを入れ込むことで、自分は一人ではないと錯覚させる作業なのだ。以前は、やくざとか、風俗何かに勤める人だけのためのものであったが、海外で日本の刺青が高く評価されていることが、日本人にも知られているため、普通に生きている人でも刺青を入れたいという人は増えてきている。

ただ、やっぱり、刺青イコールやくざという考えが定着していた年配の人たちは、どうしても自分の子には、刺青をしてほしくないと思ってしまったのだろう。だから徹頭徹尾反対するのだ。せっかく

、彼女は、幼いころにあった心の傷から、解放されたくてこっちに来てくれたはずなのに、また、それをするチャンスを失ってしまうんだろうな。次のチャンスが来るのは何時になるのだろうか。と、勝代は、なんだか悲しくなってしまった。

「そうですか、まあ、意思は意思ですから、私がどうのという事はできません。だから、決めるのはそちらで結構です。どこかで変わってくれるきっかけが、できてくれることを、祈っています。」

勝代は、しずかに言った。

「本当にすみません。有難うございました。」

と、言ってそそくさとだされた飲み物を飲み干し、彼女は伝票をもってレジへ行こうとした。

「待って、伝票はもっていかないでいいわ。支払いはしておくから。」

勝代は、彼女が持っていた伝票を返してもらい、彼女を喫茶店の入り口まで送っていった。せめて、最後のお客さんとの面会は、笑顔で送ってやりたかったが、彼女はそれさえも、断ろうとしているようである。

「ありがとうございました。」

勝代は、しずかに頭を下げ、彼女を見送った。

「あーあ、あたし、別にやくざさんと取引しているわけじゃないんだけどなあ。」

そう言って、勝代は、席に座りなおした。そういうところが、刺青師という仕事の一番つらいところであった。刺青というものは、威嚇の道具ではなく、そうじゃなくて、ただの飾りものくらいの気持ちで見てもらいたいのだが、それができるようになるには、まだ、時間がかかりそうである。

そのまま勝代は、コーヒーを飲み干して、二人分の支払いをして、カフェを出た。さて、家に帰るかと思ったが、そのままでは、家に帰る気がしなかった。何だか今日の事を正祐に話したら、正祐に笑われてしまうというか、そんな気がしてしまうのだった。

勝代は、車に乗って、名寄駅へ行った。適当なところに車を置き、名寄駅に入った。かつては賑やかな駅だったという名寄駅は、ちゃんと駅舎もあり、待合室もあり、改札口もある。かつては駅弁も売っていて、構内にスーパーマーケットもあったというが、現在はすべて廃業に追い込まれている。名寄市も、一応名寄市という事になっているが、想像以上に過疎が進み、年寄りばかりの町になり、いわゆる消滅集落となっている地域も少なくないとか。なんだか北海道はそんな地域ばかりで、このままだと北海道がつぶれてしまいそうだ。

そんなことを考えながら、勝代は、名寄駅の構内を歩く。もう、ほとんどのものが過去のものになってしまっている名寄駅。構内には古ぼけた時刻表と、眠そうな顔をして切符を販売している駅員の姿があった。

不意にその駅員が立ち上がった。もうすぐ電車の到着時刻らしい。やがて警報機がカンカンカンカンと音を立ててなり始めた。

「まもなく、二番線に、上り普通列車、旭川行きが、到着いたします。危ないですから、黄色い線の内側までお下がりください。」

と、駅員が間延びした声で、そういっているのが聞こえてきた。勝代はハッとする。そうか、この電車で旭川に行けば、新千歳空港へ行けるかもしれない。そうすれば、蘭さんがいる静岡に連れて行ってくれる!蘭さんに会いたい。あの人ならきっと私の事をわかってくれるだろうから!

勝代は、そう思いつき、大急ぎで切符を買って、すぐに二番ホームへ走っていった。宗谷本線にはICカードなるものは使用できなかった。勝代が、二番ホームに到着すると同時に、疲れた顔をした電車が、ガタンゴトン、フウラフウラと音を立ててやってきた。勝代は、急いでその電車に飛び乗った。

「ドアが閉まります、ご注意ください。」

発車メロディーも何もなく、電車のドアがしまった。電車は、重たいお尻をヨイショと持ち上げて、またガタンゴトン、フウラフウラと音を立てて走りだすのである。

電車には誰も乗っていなかった。通勤客も、観光客も誰もいない。それが当たり前の電車。ガタンゴトン、フウラフウラ。たった一人の女性客をのせて、走り続ける電車。勝代は、電車というものはあまり好きではなかったが、たまにはこういう旅もいいなと思った。自分で車を運転しなくても、切符さえ買えば、電車のほうが目的地へ連れて行ってくれるのだから。

不意にガタンと音がして、電車が止まった。

「ただいま、電車が停電により走行不能になりましたため、急停車いたしました。運転再開の見込みは立っておりません。」

なに、停電?そんなことになってたのも気が付かなかった。電車はある駅で止まっている。そういえば最近のJR北海道、電車の老朽化により、こういう不祥事が多いという。何とかしてほしいと思うのだが、とてもそういう修理ができそうなほどの、余裕がJR北海道にはないらしい。

勝代が、電車の窓から外を眺めてみると、「みずほ」という駅名が目に飛び込んできた。つまりここは瑞穂駅だ。あの、究極の秘境駅と言われている、瑞穂駅で電車は立ち往生してしまっているようである。

「すみませんがお客さん。申し訳ありませんが、タクシーかなんかで目的地に言ってもらえないでしょうかね。」

と、間延びした声で運転手が勝代に声をかけた。どうも、電車に乗らないでくれという口ぶりだ。そんな、ここで止まってしまうんですか?と思わず言いたくなったのだが、

「もうちょっといくと、風連駅があって、そこからだとタクシーが通っているはずですから。」

と、運転手が言う。せめて、車掌さんでもいてくれればいいのに、と、勝代は思ったが、人手不足で大変な宗谷本線には、そういう事はできなさそうだった。

勝代は、なにか文句を言いたいと思ったけれど、運転手さんの顔を見てそれはやめにしておく。とりあえず、電車を出て、瑞穂駅のホームに立った。基本的に、瑞穂駅から、風連駅までの歩いていく方法は車で何回も走っているので知っているが、歩いていくとなると、非常にたいへんなものであった。しかたなく、勝代は、瑞穂駅から、道路を歩いて、民家も何もない秘境駅の周りの道路を歩いていく。

瑞穂駅か。そうなると、同じ名前の水穂さんが祟ったんじゃないかしら。蘭を盗るなって!時折、北狐が、目の前を走っていくのが見えた。烏が、頭上を飛んでいくのにも遭遇した。線路に沿って歩くというのは初めての経験だが、こんな目にあうなんて、ヤッパリこれは、水穂さんが、蘭を盗るなとどこかで怒っているのだろう。そうよね。蘭さんごめんなさい。あたしが、余計なことをしちゃって。

そうよね。

私、蘭さんに会いに行くのはやめることにするわ。

勝代は心に誓った。

後の方で、がったん!という音がした。古い電車は動くときの音も大きかった。たぶん停電が解消されて、動くようになったのだろう。勝代はちょっとだけ後ろを振り向く。どうか、蘭さんへの想いを込めて、無事に走って行って頂戴ね。

と、勝代は、願いを込めて、その古臭い電車が走っていく音を聞いていたのだった。





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宗谷本線は想いをのせて 増田朋美 @masubuchi4996

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