第3話 俺の魂が震える

凍えた両手で

固く握りしめ

お前は負けない、負けてはならぬのだと

俺のこの手を握ってくれたやつ

男同士の強い絆

今も俺の脳裏に焼き付いている

友の背中と一緒に

誓ったあの日よ

深く感謝して 人生の坂道を行く


俺には家族が

守らねばならぬ

お前は折れない、折れてはならぬのだと

この俺の頬の涙を抜いてくれたやつ

表通りを歩き続けろ

今も俺の脳裏に焼き付いている

男哀愁 輝け

誓った あの日よ

大切なことを 胸に刻んでく道


明日の行方は分からずとも

自分を大事に強く生きろ

お前なら お前なら やりぬけると

友の辛い人生の過去が教えてくれた

仁義の情熱




解説

ある真冬日の日に私自身就労することもできずに、妻も障害者であったが国民年金を払っていなかったために障害者年金がもらえずにお金に困った日々を送っていてあまりの寒さに布団にくるまっていた時に突如友が来て、玄関の戸を開けたらいきなり凍えた両手で固く俺の手を握りしめて「お前は負けない、負けてはならぬのだ」言ってくれた。日頃から悩みを相談しているともであったし、何かに気を使ってくれる友のつぶやきであった。たったそれだけのことだったが胸にじんと来て涙がこみあげた。俺のこの手を握ってくれ男同士の強い絆でこれまで以上に固くなった男同士の強い絆であった。その時のことは、今も俺の脳裏に焼き付いている。印象的な苦しみや悲しみがあってもいつも哀愁を漂わせている友の男の背中がいつもより大きく見えた時でもあり、友に「分かった俺は絶対に負けないよ」と誓った日でもあった。私自身、その時の思いは強烈で友に深く感謝して、(どんな人生の坂道がこようとも必ず乗り越える)と決意した時でもあった。


外は大雪だったために雪だるまのように友は雪で覆われていたので、暖房器具もなく雪が家の中に入ってくる始末ではあったが友を家の中に入れ私と妻と友の三人で語り合った。私が「自分はひとりではなく妻のいる身で妻を守らなければならない」ことを友に伝え、「今の俺は心が折れそうになっている」と言ったら友に「お前は折れない、いや折れてはならぬのだ」と言われて、あまりの切なさに涙が止まらなかったときに友が私の頬の涙を抜いてくれた。その時友が威勢よく「表通りを歩き続けろ」といった言葉は今でも私の脳裏に焼き付いている。男なればこそ男の哀愁があればこそ友の言葉が胸に響いた。この手を握ってまた言ってくれた。このことがあと後になって輝いてほしい嫌輝くのだと思い友に「必ず立ち直る」と誓った。今思えば、大切なあの日を胸に刻んで今は一歩一歩歩き続けている道を歩き始めたのだった。


それから友はこれだけ言って帰ると言い「自分を大事に強く生きろ」と言って帰った。誰しも明日の行方は分からないもの、私もそうだった。考えてみれば友の過去は私よりも壮絶で厳しいものがあった。私はそんな辛い友の過去から確かに(お前なら、お前ならやりぬける)と教えてくれたのを感じた。有難う友よ、わざわざこんな吹雪の寒い中、来てくれて本当に有難う。そこには男同士の友情としていつまでも親友でいるとの仁義の情熱があった。

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