CLS患者達

しかし、メルシュ博士の顔つきが柔和になったからと言って行われている行為が緩和されるものでもない。そのえげつなさは苛烈かつ非道の一言であろう。猫が狩りの練習の為に獲物を食べるでもなくいたぶるのと同じような気軽さで、彼女は凄惨な実験を続けていた。


現在、この研究施設に収容されている名有りのCLS患者は、コラリス、コラダム、コライン、コルツェウィ、コルドレイ、コルヴィア、コルフュンフ、コルセクス、コルスィーベン、コラクト、コルゼン、コレルフ、コルツォルフ、コルン、コルデクス、コルトロイス、コルクアトレ、コルシンク、コルシックス、コルセプト、コルフイ、コルネウフの二十二名である。


年代別で分けるなら、


十二歳以下女=コルヴィア、コルセプト。


十二歳以下男=コラクト、コルデクス。


十代から二十代女=コレルフ、コルトロイス、コルシックス。


十代から二十代男=コラダム、コルシンク、コルフイ。


三十代から百三十代女=コラリス、コライン、コルツェウィ、コルドレイ、コルスィーベン、コルゼン。


三十代から百三十代男=コルフュンフ、コルクアトレ。


百四十代から百九十代女=コルン。


百四十代から百九十代男=コルセクス。


二百代以上女=コルツォルフ。


二百代以上男=コルデクス。


となっている。それ以外にも、名前が与えられていないCLS患者が常時数名、研究対象として収容されていた。


よくまあこれだけ集められたものだと思うが、その辺りはリルフィーナの頑張りの賜物だろう。この研究施設の周りにいた者についてはリリアテレサが捕えたりもしたが。


では、ここまでに行われている実験のおさらいをしてみたいと思う。


コルゼンについては通常のCLS患者の経過を見る為に敢えて一切、何も手を加えていないのを除き、他の全員は、コラリスと同じように心臓の働きが回復させられ、外見上は傷や壊死していた部分の痕を除けばほぼ健康な人間と変わらなくなっている。


ただし、その焦点の合わない視線や知性を感じさせない虚ろな表情など、独特の違和感はどうしても消せないが。


また、代謝は辛うじてある為に、傷修復用のナノマシンを塗布された絆創膏の助けを借りてではあるが、壊死した部分などを除去してやれば出血くらいは収まった。しかし、コルヴィア、コルセプト、コラクト、コルデクスらの観察の結果、成長はしないことが分かっている。成長を示す兆候が全く見られないのだ。骨格レベルで成長が止まっていることも、観測により確認されている。


一方、代謝が人間と比べてゆっくりな為に、老化もゆっくりなようだ。その為、現在では日常的に行われている老化抑制の処置を行わなくても、そういう面での寿命も、一般的な人間とそれほど変わらないと思われたのだった。


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