第7話 基子
日曜日、朝。
うー、体が重い。夜更かしは楽しい反面、体が辛い。2階から1階へ降り、リビングへ向かう。テレビをつけると特撮ヒーロー番組がやっていた。久しぶりに見ると、CGのクオリティが高く、殺陣もハリウッド映画のようなキレの良さで思わず見入ってしまった。
「大の大人が何見てんのー」
母の基子が声をかける。
「いや、結構面白くて」
「子供じゃないんだから。そういう幼稚なところがあるからいつまでもフラフラしてんでしょ、ダメ人間」
母は口はきつい。声も大きい。が、嫌みには感じず、むしろ笑いそうになる時がある。性格は男勝りで、裏表がない。仕事では行く先々で、嫌みで無能な上司とかち合うが、真っ向勝負で打ち負かし、同僚からは男女問わず人望がある。責任感が強いのだが、強すぎてたまに無理をしているように感じる。大丈夫だろうか。俺が言えた義理ではないが・・・。
「そうそう、夜中コンビニ行ってさ、変わったお菓子見つけて買ってきたから食べていいよー」
「ありがと泰樹ー」
朝食を済ませ、皿を洗い、2階へ上がる。机につくが手が動かない。
「”明日も鳴るよ”かー。気になるなー。」
天井を見上げる。変なおばあさんに声をかけられた件も含めて、ワクワクしていた。不思議な気分だ。あれだけビビってたのに。
「また行くか」
そう思い、姿勢を正した。
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