第4話 遭遇

 綿貫鉄工所に直接乗り付けるわけには行かないので、近くのコンビニに車を止め、歩いていくことにした。そんなに離れた距離ではない。街灯も多く、怖くはなかった。が、こんな夜中に歩いていると不審者に間違われる気がして、それが不安だった。動機が動機だしな。

 目的地についた。入口からそぉっと様子を伺う。門は閉じられている。左にはプレハブが建っており、窓すべてから資材がぎっしり顔を覗かせている。右には錆び切ったカーポートが建っていて、中にあるコンテナに廃材が積まれていた。中央の奥まったところに2階建ての建物があり、口の大きいシャッターが開いていた。明かりがついていて、中の様子が何となく確認できる。

 あ、やってるんだ。

 フル稼働ではないにしろ、何かしら作業している様子が見えた。また、建物はゴウンゴウンと静かながらもどこか腹に響くような重い低音を響かせている。

 これかな?

 なんとなく納得できた気がした。そのせいでなんとなくがっかりした。こんなもんだよな。うざったい日常がぶっ飛ぶような何かなんて、起きるわけがない。そんな時だった。

「にーちょん、にーちょーーん」

 突然後ろから声をかけられた。心臓がぎゅう~と縮まり、口から何かが出そうになる。反射で振り向くと、強烈な人物が後ろに立っていた。

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