第六章「名も知らぬ者との遊び」-その2
「片喰! 行け!!」
閃光手榴弾を投げたのは好宮だった。禊はその言葉に従い、刀を置き去りにして近場の出口へ向けて走り出す。
「クソっ! お前ら逃がすな!!」
武装した男達がやたらめったら銃を乱射する。奇妙な沈黙を保っていた体育館が唐突に騒がしくなる。急に訪れた喧騒から逃げるように、禊は開いた扉へと飛び出す。禊へと、この喧騒の中でもはっきりと聞こえる声で好宮が叫ぶ。
「こっちは任せろ片喰!」
「文化祭が近いんだ!! 死体は作らないでくださいよ!」
「抜かせ!!」
安心したように禊は、閃光で痛む目を擦り駆け出していく。しかし、片喰禊が聞かなかった台詞の続きが此処にはあった。
「……助かった。ありがとう」
呟き終えると、好宮紫は職務を全うすべく、伏せている人々に言葉を投げた。
「さあ。生き残りたくば立ち上がり目を開けろ諸君。教師ならば生徒を守る、そこに超魔核であるかどうかは関係ない。今後いい評価を受けたければ、やれるでしょうね?」
弾が切れたのか、短い時間だが周囲の音が小さくなる。
「外で待機してる部隊を呼べ! こいつらをぶっ潰さなきゃ俺達の面目が立たねえ。全面戦争をおっぱじめようぜ!」
「お前ら学級委員だったっけな。此処でお前らが活躍すれば、それはそれは評価が高くなるだろうな。履歴書にも書ける。当然成績にも反映されるだろう。しかしお前らは保護対象だ。死ぬくらいなら逃げることを優先しろ。生き延びた上で貢献しろ」
明確で的確な指示だったかどうかは、後に考えるべきことだ。しかし、そこで寝ていた人たちを焚きつけるには十二分に役割を果たしたようだ。一気に顔色を変えた学生と教師達が立ち上がる。
「構えろ、依頼を果たすぞ!」
視界が確保された兵士達が弾倉を交換し始める。学校側の人間は魔素軍用食を口に投げる。お互いに相手を前に準備を整える。ただ策も無く逃げ出すという考えの者は、どうやらいないようだ。
「さて、講習を始めよう」
互いに準備を終えたところで、再び喧騒が始まる。
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