第48話 始まりより、この手に万感の想いを込めて③

 ナギが私に聞いた。この曲に何を感じて、何を込めるのかと。始まりは切なく、徐々に温かみが灯って、終わりに向かうにつれて感情が高まって爆発していく。

 そんな風に弾きたいと思った。そして、向き合ううちに気付いた、この曲は奏者を映す鏡なのだと。届けたい人に、届けたい形で届けやすいようにこの曲はできている。


 なら、私がこの曲に込めたいと思ったものの正体は何なのだろう。夏頃の挫折と達成感?秋の共鳴と煌びやかさ?冬に降った想いだろうか?


 答えは全部だ。この曲を弾くところまで辿り着いた、私がナギと出会ってからの全てを、この楽譜に落とし込む。

 

 あなたへの想いが、感謝が、憧れが、嫉妬が、もらった優しさの私が感じた温かさが、全て、届かないはずのあなたに届きますように、なんて。


 ああ、夏の挫折を表現するように音を硬く、そこから努力で尻上がりに音を軽く高く。秋のとびっきりのお祭りの思い出を想起させるみたいに、音に少し背伸びした化粧と服を着せて優雅に。


 そして、雪の冷たさの中に仄かに灯ったあなたへの止め処ない想いを、徐々に燃やして、爆発させよう。

 この場にいないから届くはずもないのに、きっと本人は今真剣な顔をしてケーキでも焼いているだろうから、残せるはずもないのに何かが残ると信じて。


 ああ、緊張する。今の私は、まるで、目を見て想いを告げられないシャイな子みたい。ラブレターだけ渡して、相手の表情も見ずに逃げちゃう勇気のない少女みたい。

 相手の答えがないのも分かっているのに、こんなに心臓が脈打つものなのだと私は初めて知った。なら、いつか目を見て、相手の答えを眠れなくなるくらい空想して、音ではなく言葉で伝える時は、どれだけ緊張するのだろう。


 想いに浸れる私は、幸せなのかもしれない。


 そんな想像をして音を乗せ続ける。黒い譜面台に映る私が、私じゃないみたい。頬は上気していて、真っ赤。汗だくで、これが想いを告げる乙女の姿だろうか。気丈で、真面目で優等生で、人の前でピアノ演奏することに怯えていた私は一体どこへ。


 変われたよ。だから、あなたのことが好きな私になりました。結局のところはそれを伝えるだけの演奏だ。

 掴んで離さないのだと、誰にも渡さないという牽制の音でもあるけれど。


 届くといい。いや、やっぱり届かなくても、でも少しだけ。


 どっちつかずの音になっちゃったかもしれない。でも、きっとあなたたちにではないけれど、伝えたいことは分かってくれたかな。


「好き」


 恋慕だけじゃなく、感謝も思い出の厚みも、言葉にしきれない全ての想いを、口の動きだけで告げて、最後の一音を鳴らした。


 ああ、こういう想いをなんて言うんだっけ。ああ、勉強したから知っている。


 ねえ、私の中の万感の想い、全部この手に乗せたよ。少しくらい、今あなたの作るケーキに焦げ跡がついていればいい。

 私の想いが風に乗って届いて、どきりとしたあなたの手元が少しでも狂ってなんて、そんなあり得ない想像をした。


 微笑みを絶やさないあなたへ、風邪以外で赤らんだのをあまり見たことのないあなたへ。帰るよ、きっとあなたへの想いを絶やさず持ったまま、私はあなたの元へ。いつか伝えたい熱を増して、そこへ。


 息も絶え絶えになりながら、ペコリと礼をした。審査員席の人たちの顔を見る。拍手はないけれど、呆けたみたいに、何かに想いを馳せるようにしていた。

 もう一度小さく頭を下げてから、舞台袖に戻る。あとは、少し待って、玄関ホールに張り出される結果を見て帰るだけだ。


 今になって、演奏中とは別種の緊張が襲ってきた。え?大丈夫よね?恋している時って、周りが見えないって噂に聞くけれど、そんな勘違いみたいな音になってないわよね?


 本当に今更、小心者の私が顔を出す。さっきまでの気丈な私はどこに行ったのだ。


「何オロオロしているのさ、壇上と大違いだね…」


 後ろを振り向くと、肩をすくめたクリスの姿があった。額に張り付いた前髪が、激しく奔放な演奏を思い出させる。私の今の格好も似たようなものかもしれないけれど。


「終わったら急に足が笑っちゃって」


「ああ、あるよね。そういう時」


 クリスはポケットからハンカチを取り出すと、私の額の汗を拭ってくれる。タオル生地が心地よく、少しだけくすぐったい。


「クリスでもあるの?」


「僕を何だと思ってるのさ。練習だってしてきたし、目標とするところはあるんだから緊張する時くらいあるさ」


「そうね、そうかもしれない」


「君たちの言う天才にだって心はあるんだ」


「…知ってるわ。だって、こんなにも手が震えてるもの」


 クリスの手をそっと取ると「本当に凄かったわ、演奏。泣いちゃいそうなくらい」と頬を膨らませる。あんな感性に任せた演奏、憧れないはずがない。


「ティアラも、いい音だったよ。全部伝わってくるみたいな、そんな演奏。聞いてるこっちが照れちゃうよ、本当にさ…」


「そんなに…?」


 それを言われると私の方が照れる。伝えようと弾いたのに、いざ伝わると恥ずかしいのはなぜなのだろうか。


「好きなんだね」


「うん、だから譲れないの」


「きっと僕は馬に蹴られちゃうな。でも、裁定はあそこで決まるから。行こうか」


 クリスが指差した方向では、掲示板に一枚の紙が貼られようとしている。さあ、覚悟は決まった。


「うん、行こっか」


 私たち二人の目に、白い紙に書かれた未来が飛び込んでくる。その未来の中身を知った私たちはーーー


********************************************


 つつがなく、僕の方の準備は済んだ。料理もケーキも、心も全ては万全だ。あとは吉報を待つだけ。


 そろそろだろうか。ドアベルの音を待ち続ける。たった一人の店内で、ゆっくりと時計の音を数え続ける。


 カランカラン。不意にドアベルが鳴った。はっとして勢いよく顔を上げ、扉の方を向く。表情を見てしまえば、きっと分かってしまう。だから、ティアラの姿を視認することを少し躊躇ったところで、違和感を覚える。


「ん?」


 どう見ても、床から徐々に視線を上げるように見たせいの錯覚とかではなく、足が四本ある。

 そして、何だろう。おかしいな…なんていうか…うん。声が二種類聞こえる。それも、普通じゃない感じの。


「あの、ティアラさん」


 ティアラは答えない。思わず僕も敬語になってしまうほどに理解に苦しむ光景が眼前にある。


「えっと、なんでお二人とも泣きじゃくってるんですかね」


 そう、僕の眼前にはなぜかティアラだけでなくクリスもいるのだ。それだけでも、状況が理解できないのに、二人とも結構な勢いで泣いているのだ。

 瞼の下には涙の跡がきちんと貼り付き、目は赤く、乾いた涙の筋が幾つも運河を作っていた。


 何が、表情を見れば一瞬でわかってしまうだ。全くわかんねえ。


「勝ったわ」


 唐突なティアラの勝利宣言に、僕は咄嗟に言葉を返せない。用意していた言葉なんて幾つもあったのに。


「決闘には勝ったわ」


 ティアラがそう言うと、横のクリスが凄まじい百面相を見せる。最終的には、頬を膨らませたかと思うと、ティアラに食ってかかる。


「確かに負けたけど、ピアノでは負けてないから!負けてないったら負けてないんだ!」


「うるさいわね!実技で負けても勝ったの!ああ!負けたって口に出すと何だかムカつく!」


 二人とも顔を突き合わせて何やら言い合ううちに、また眦からは涙がこぼれ落ちる。


「ええっと…?」


 僕はどうしたらいいんだろうか。そろそろ誰か教えてください。


********************************************


 結果が掲示され、一番上に私の名前があった時、私は思いっきり拳を振り上げた。一番にナギの顔が思い浮かんだ。


 横のクリスを少し伺うと、呆然としたように掲示を見ている。私がかけられる言葉など、ないのだと悟った。


「負けてない…ピアノでは負けてないから!」


 クリスが、少し潤んだ瞳で掲示を指差しながら私に詰め寄ってくる。何のことか分からず、よくよく結果の採点表を見てみると、徐々に私の顔も曇る。


 実技満点 85 学科満点 10 生活態度満点 5 合計 100


 ティアラ 実技点 72 学科点 10 生活態度点 5 合計 87


 クリス  実技点 83 学科点 2 生活態度点 1 合計 86


 ああ、確かに実技点は結構負けて…って、クリス実技以外が低すぎるわね。何したらそうなるのかしら…


「って、いいじゃない!これも、私が中等部から四年間真面目にやってきた成果なんだから!」


「ううう、ピアノなら負けてない!」


「子供!?」


「うるさい!」


「確かに実技では負けてるけど、決闘には勝ったんだからいいの!」


「そう、実技では負けてない!」


「一点張りね!?いいもん!勝ったのは私だから!」


********************************************


「そんなこんなで、言い争って二人とも感情の臨界点が来て途中から泣いてると…」


 とりあえず椅子に座らせたものの、まだ小声で言い争っている二人から事情を聞いたところ、どうやらそういうことらしい。いや、そういうことらしいじゃないけど。


「とりあえず、ティアラ、首席でのピアノ専攻おめでとう。夢が叶ったね」


「まだ、夢への一段階目だけどね。それに、同じ専攻内にはこんな化け物もいるし」


「絶対、来年からは一回も負けないから!」


「じゃあ、学科とか生活態度も頑張りなさいよ!」


 またギャーギャーと言い争い始めた二人を見て、僕は密かに微笑む。なんだ、結局闘いの後は仲良しに戻るのかと、安心したからだ。

 まあ、なんか前とは違う友人関係に落ち着いたみたいだけど、それもまたいいだろう。


 僕はそんな二人を苦笑して見守りつつも、僕はそっと窓の向こうに視線を送ると一つ目配せをした。人影が、頷いたのが見えた。


「ティアラちゃん!お誕生日おめでとーーー!」


 僕のその合図から一分ほど後、そんな声がドアベルと共に店内に響いた。思わず言い争っていたはずの二人も、ポカンとして扉の方を向いている。


 その声に続いて、店内にゾロゾロとそこそこの人数が入ってくる。まあ、どれも見覚えのある人達だけれど。


「えっと、フリーダさんに、相談屋さんに、シオンちゃんも!」


 そう、実は事前にティアラの誕生日を祝うために、目ぼしい人間にパーティーのお誘いをしていたのだ。まさか、本選当日と被るとは思わなくて、もしティアラが負けた時の空気を考えると胃が痛くてしょうがなかったけれど。


 なので、とりあえず僕が結果を聞くまで、みんなにはお隣の小物屋さんで待っていてもらったのだ。もし、万が一ティアラがクリスに負けていたら、解散という話になっていたが、無事開催できてよかった。


 シオンちゃんに、アルマちゃんといった学友に、フリーダさん、相談屋さんといったティアラと親交の深い人物に、今日の食材提供者のドロシーさんとコーエンさんが主たるメンツだ。なんで、クルトがいるのかは僕も分からない。


 全員、まさか当事者が泣いているとは思わなかったらしく面食らっていたけれど、ティアラが「あ、ありがとう」とこぼしたことで、和やかな雰囲気が流れる。


 僕が料理をテーブルに運び始めると、ささやかなパーティーの準備が整う。ここまで予想した道のりとは随分と違うことになっているけれど、辿り着くところは同じでよかった。


「じゃあ、改めて、ティアラ本選合格と誕生日を祝いまして、乾杯!」


 僕のそんな音頭と共に、グラスが打ち鳴らされる小気味良い音が鳴る。若干一命不貞腐れた顔があるけれど、結局は主役の隣にいるので大丈夫だろう。


シオンちゃんとアルマちゃんが抱きつく勢いでティアラの方へ走っていった。ティアラは少し驚いた様子だけど、嫌がってはいない。そこに、クルトも呼ばれた、目を白黒させている。きっと、僕らの仲間内だと思われて、シオンちゃんがここに呼んだんだろうな。クルトからしたら、棚からぼたもちだ。


相談屋さんとフリーダさんが乾杯している。コーヒーとココアだけれど、寒い今にはピッタリだと思う。あ、ドロシーさんとコーエンさんも加わった。


クリスが仏頂面で、ピアノの前に座った。「負けてない」だとかぶつくさ呟きながら、とてつもなく惹き込まれる音楽を鳴らす。

そんな時、遅れてやってきたウォルツさんが、クリスの奏でる音になんだか嬉しそうに聴き入っている。ウォルツさんとクリスの関係は相変わらずよく分からない。


その後も、偶然やって来た猫耳三姉妹とティアラが結構張り切って作ったはずの料理を平らげて、僕が呆れたり、料理を作ることに夢中でプレゼントのことをすっかり忘れていた僕が皆に白い目で見られたり、沢山のことがあった。


猫耳三姉妹が目を擦り始めた頃、誰とも言わず皆は帰り支度を始め、ポツポツと姿を消した。


夜の余韻とプレゼントボックスだけを残して。


「いい夜だったね」


「そうね、主催者のどこかの先生がプレゼントを忘れなければ、もっとね」


「うっ、すぐに準備するから」


痛いところを突かれてうろたえる僕をティアラはクスクスと笑う。楽しさの余韻か、少しティアラも陽気になっている気がする。酒ではなく、雰囲気に酔っている。ここは、お酒は出さない喫茶店ですから。


「本当に、報われた一年だと思うわ」


笑い声が途絶えて、静寂の一瞬を挟んで、唐突にティアラがそう言った。


「報われた?」


「そう、今までやってきたことが全部報われた。意味があるのかって悩んだ勉強も、真面目な早起きも、全部この時のためにあったんだって、今日知れたわ。人生の貯金を使い果たしたとも言えるかも」


きっとその貯金は、尽きることなく君の元にあり続ける。けど、そんなことは自分で気づくだろう。賢い子なのだから。


「それも含めて全部、ティアラの力だよ。本当におめでとう。 十七歳も素敵な一年にしよう」


「ありがとう。でもね」


ティアラは言葉を区切ると、じっと僕の目を見つめてくる。熱の余韻なのか、彼女の目には燃える何かがあるような気がして、一歩後ずさる。その瞳の綺麗さに、吸い込まれてしまいそうだったから。


「私もう一つ報われて欲しいと思うことが、報われてないの」


「へ、へえ」


ティアラは、ずいっと後ずさった分の距離を詰めてくる。汗と混じった仄かな優しい香りが否応でも僕の本能に訴えかける。実にティアラらしい香りだった。


シンクを背に、後ろのスペースが無くなった僕とティアラの距離がどんどん近づく。速いリズムを刻む音が、自分の鼓動なのかティアラのものなのかわからなくなった頃、ふとティアラが動きを止めて、僕の袖を掴む。


「これ、どうしたの?」

 

ティアラが掴んで示す箇所には、小さな穴があった。振り払ったと思っていたが、やはり黒い跡が少し残っている。


「いや、これケーキ焼いてる時に、一瞬ぼーっとした瞬間があってさ、うっかり熱したオーブントレイの端に引っ掛けちゃって焦げて破れちゃったんだ」


なんだったのかは分からないが、ふと冬には相応しくない熱風が髪を揺らした気がしたのだ。揺れた髪が耳をなぞるような感覚に浸っていたら、このザマである。


「ふーん、見事な虫食いになってるわね」


「そろそろくたびれてたし、買い替え時かなぁ」


なぜか穴をじっくり満足気に見つめているティアラにそんなことを言うと「じゃあ」と名案を閃いたかのようにティアラは、ポンと手を叩く。


「春になるし、また一緒にヘーゼルさんのお店に服買いに行きましょうよ」


「いいね、春の陽気にピッタリの服なんて持ち合わせがないから。そこで、ティアラの誕生日プレゼントも買うよ」


「ううん、それはもういいわ。もう、貰ったもの」


「え?」


どういうこと?と聞き返そうとしたけれど、ティアラは何も言うつもりは無いと示すようにふわりと微笑む。


「今はこれでいいの。今はね」


悪戯っ子がとびきりの悪戯に成功した時みたいに、ティアラは笑った。見惚れるくらいに、素敵に笑った。


そんな僕を知ってか知らずか、ティアラはキッチンから少し駆け足で飛び出すと、無邪気にピアノの蓋をパカリと開けた。


「でも、忘れてた分当日にサービスが欲しいわ。ピアノ弾いてよ、ナギ」


ポンポンと、無人の椅子を叩くティアラに導かれるように、僕は何も言わず席に着く。祝いの利子が僕のピアノなんかでいいのなら、安いものだ。


「ねぇ、何を弾く?」


「ナギの好きな曲がいいわ」


「そうだなぁ...」


春を待つ街の喫茶店。大きな大きな樹が聳え立つその下で、今日も音が鳴る。


音を変え、テンポを変え、強さを変え、世界を変えて、音が鳴る。


春が来るまで、また新しい誰かを迎える準備をするように、音が鳴る。


音の中で彼は、この世界にやってきた意味が、この子を導くためだったのかもなんて考えた。


そこまで考えて、買いかぶりだと首を振った。この子は、僕が居なくても進んでいくのだから。


それでも、美しい紺色の彼女にとっての僕は意味はあったのだと証明する夜だった。それを証明するかのように、彼の音に合わせて小さく少女がハミングする。


見下ろす樹もご機嫌そうに揺れる。きっと、明日も。


「さて、コーヒーでも淹れよう」


きっと明日も何も変わらず進んでいく中の、特別素敵な夜の話。


*****************************************


お付き合いありがとうございました。後二話くらいちょっとしたお話が上がると思いますが、一章の大筋のストーリーはここまでです。


少し驚くくらい常連さんが増えて、嬉しさを覚えると供に感謝を。少し臨時休業を挟みましたら、また二章目のお話を始めます。その時は、またよろしくお願いします。


この話は、ちょっと日が暮れる頃に投稿したかったのでギリギリ間に合いました。

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