5枚目 尿検査

冬はすごい。クリスマス、お正月、バレンタイン、ホワイトデーと、太る行事が目白押しだ。私にとってそれらは、決してどうでもいい行事などではなく、一つ一つしっかりお祝いしたりプレゼント交換をして、楽しみたかったりする。全部祝日にすればいいのになあ、と思うが、総理大臣になるか天皇のお宅に嫁入りするかしか方法はなさそうなので、誰かが声を上げてくれるのを待つことにする。


今日は「尿検査」について話そうと思う。尿検査をしたことがない、なんて人はいないと思うが、尿検査が好きな人もいないだろう。私も、どちらかといえば嫌いである。学生の頃は、社会人になったら尿検査から解放されるとなぜか信じていたが、そんなことは毛頭なく、ばっちりしっかり尿を提出した。

男性の尿検査事情は分からないが、女性よりは簡単なんじゃないかと思う。いかがだろうか。紙コップに入れるあの瞬間、「こぼれたらどうしよう…」「はみ出したら手にかかるな…」と不安になる女性は少なくないはずだ。(男性はきっと失敗することなんてないだろう?)そして、やっとの思いで紙コップに注いだ尿を、あろうことかスポイトで吸うだなんて…!何してるんだ、自分。と問いを立てたくなる瞬間第一位だ。


私が尿検査を嫌いな理由は、もう一つある。高校生の時、尿検査で幾度となく引っかかったのだ。再検査。その文字は私を不安にさせ、またあの一連のくだりを行うことへの抵抗感が襲ってくる。2度、再検査のお達しを受けると、大きな病院で検査を受けてください、と言われる。「ええまさか、本当に大きな病気なのか。なんだか怖くなってきたぞ」そんな気持ちで近所の大病院へ行き、検査をし、医師に言われたのは、この一言。


「もっと水分とってくださいね」


え、終わり?スイブン?ああ、水の飲まなさすぎってことか。


…そんなことで再検査させるなよ…!


とまあ、水分不足の一言で私のどきどきとハラハラが払拭された。まあ、よかった。それからはスイブンをきちんととるようにしている。そして、尿検査があるたびに「ああ、また再検査になりそうだなあ」と、やっぱりそんなにとっていないスイブンに思いを馳せるのである。


微塵も伸びない身長と、右肩上がりの体重を横目に、「特に大きな病気がなくてよかった」と、そっと検査結果を閉じるのであった。


―――――――――――――――――――――――――――――くしゃくしゃ、ぽい

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