閑話 妹ちゃんのハグと決意

「ふぁ~ぁ。あ! 今日のお兄様は左を向いて寝て居ます」 


 栞こと私の朝はお兄様の寝方の確認から始まります。不思議なことですがお兄様が右を向いて寝ている時は眠りが浅く、左を向いて寝ている時は眠りが深いのです。つまり、左を向いている今が甘えるチャンスということです。


「えへへ、お兄様ぁ~」


 そうして今日も、お兄様を抱き枕に添い寝をします。普段から抱き着いて甘えることもありますが、やっぱり面と向かって抱き着くのは恥ずかしいのです。


 (でもなんか物足りませんね……)

 

 きっと最近面と向かってハグしてもらってないのが原因でしょう。


 (今日は勇気を出してみましょうか)


 でもその前に、今はもう少しお兄様との添い寝を堪能することにします。


「お……兄様、柔らかい……ですぅ」


 そうして、私の意識はまどろみに落ちていくのでした。



▽ ▼ ▽



 「…………栞」


 栞はまだ、いつも僕が起きていることには気がついていないらしい。


 (やれやれ、栞も甘えたいなら素直に甘えればいいのにな)


 そんな事を思いつつ添い寝を始めた栞の頭を優しくなでながら、僕は再び眠りにつくことにした。


 


 


 


 

  

 

 


 

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