5話 入寮前に兄肌が恋しくなったら?

 僕は女装も問題なくできるようになり、最後の夜を迎えた。


 コンコン。


「お兄様、起きていますか?」


「ああ、どうした?」


「この家での最後の日なのでお兄様と一緒に寝たいな~と……」


 栞はうつむき気味にそう言った。その顔がほのかに色づいているのは気のせいではないだろう。


 (まぁ、この年で兄妹一緒に寝たいって言うのは恥ずかしかったんだろうな)


 僕は恥ずかしい思いをしてでも一緒に寝たいと言ってきた栞の頑張りを無駄にしたくないと思った。


「うん、いいよ。栞、いっしょにおいで」


 そうして兄妹で1つのベッドに眠りについた。



▼ ▽ ▼



 そうして少し経った頃。


「お兄様、まだ起きてますか?」


「あぁ」


「私、お兄様が一緒に通うと言ってくれてうれしかったです。ここまで色々とお父様にやってもらいましたが、お兄様に断られたらやっぱり行くのをやめようと思っていました。ですので、あらためて一緒に通うと決心してくれてありがとうございます」


 そうして私はお兄様のほうへ寝返りを打った。


「あれ? お兄様」

 (寝てしまいましたか、私がお着換え人形にしていたせいですかね。ん、今日はゆっくり休んでください、お兄様)


 そうして私はお兄様の頬へとキスをした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る