3話 いざ、引っ越し準備へ

 をした後、僕は自室で本を読んでいると、そういえばなんでトラックが止まっていたのか聞き忘れていたことに気が付いた。


 (そう言えば、あのトラックは何だったのだろうか。本当に引っ越し用だった? いや、それはないな。今日アルーラ女学院に通うことを言ってきたのだしそれは急すぎるだろう)


 この日の夜は、トラックについて考えてるうちに去っていった。



 ▼ ▽ ▼ 



 ガタン!!!


「ん~、うるさいなぁ。朝っぱらからな、何!?」


 僕がベッドの上で目覚めると、部屋の中が何もなくなっていた。


「はぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」


「あ、お兄さま。おはようございます。もう荷物は運んでおきましたよ」


 栞が挨拶をして何事もなかったかのように俺の大切にしている花瓶を抱きかかえて出ていこうとしていた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ栞。どうして花瓶を持っていこうとしてるんだ?」


「へ? お兄様こそ何を言ってるんです? 引っ越しの準備ですよ。午前中に荷物をまとめておいて午後には寮のほうに送ってもらうんですから」


「お~い、栞。荷物はさっきので最後か~?」


「待ってくださいお父さま。まだ、花瓶が一個残ってます。それとお兄様が起きましたよ。 あ、朝食を今作りますのでお兄様も着替えたら降りてきてくださいね」


 それだけ言い残すと栞は花瓶を丁寧に抱きかかえて部屋を出て行ってしまった。


 それから数分後、僕は父さんに説明を求めた。


「で、父さん。今更、海外出張のことは聴かない。でも、なんで俺が勝手に引っ越しすることになってんの? 引っ越しなんてするつもりはないんだけど?」


「いや、ちょっと待て。勝手も何も和人行くと言ってくれたと栞は言ってたぞ。それに、もしお前が駄目だといってもこっちで転校手続きはもう済ましているし、入寮手続きだって済んでいるんだ。今更変えることはできんぞ」


「ちょっと待って。ってことは栞と同じ学園なのか? あそこは女学院だぞ」


「ああ。そうだ、お前は今日から姫宮ひめみや 由美ゆみだ!」


「は?」


「だから、女装して通ってもらうって言ってるんだよ。それにな、よく考えてみろ。栞が学院に行ったとして急に具合が悪くなったらどうする? 常に、俺やお前がいてやれるわけじゃないんだ。だから、頼む。栞のためにアルーラ女学院に一緒に通ってやってくれ」


 そうして父さんは、頭を下げた。


 (女学院に通うなんて普通なら絶対しないだろう。でも、栞の体を考えると……)


「……わかったよ、父さん。でも、バレずに通える保証はないからな」


「あぁ、もちろんその時の責任は俺がとるさ」


 そうして僕の女学園通いが決まったのだった。

 


 ▽ ▼ ▽



「あ、そうだ! 言い忘れてたけど、入寮日明日だから~」


「そういうことはもっと早く言え、バカおやじ!!」


 (本当に大丈夫か? これ)

 最後の最後で僕が不安になった瞬間だった。

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