2話 妹ちゃんたくらむ

「しおり、栞!」


 家に帰った僕は栞なら家の前のトラックについて知っていると思い、栞を探していた。


「ここにもいないとなると後は僕の部屋くらいか」

 リビング、トイレ、キッチン、洗面所と探してもいないので僕の部屋にあたりをつけた。栞は何か頼み事をするとき僕の部屋で待っているのだ。案の定、栞は僕の部屋にいた。


「あ、お兄様。おかえりなさい」

 

「あぁ、ただいま栞。それでどうしたんだ? 栞がここにいるってこと頼みごとがあるってことだろう?」


「ええ、お兄様はお見通しなのですね」


「そりゃもちろん、だって僕が帰ったらいつもリビングにいるだろう」


 栞には少し困った癖がある。僕が帰ってくるとすぐに抱きついてくる癖、つまりブラコンってことだ。まぁ、それを良しとしてかわいがってしまう僕もクラスメイトからはシスコンと言われているが。

 それはさておき、栞がリビングにいないで僕の部屋にいるってことは頼みごとがあるのだろう。そう思い話しやすいように栞の頭をなでながら待つことにした。


「ん、ふぁ~」



 そうして少し経つと、気持ちよさそうになでられながら栞は話し出した。


「お兄様、私学校に通うことにしました。もうお母さまやお父様には、「頑張って!」というお返事をもらうことができました」


「それはよかったじゃないか。だったら僕も応援するよ。でも体が弱いんだから無理はしないようにね。それで、お願いとはこのことだったのかな?」


「いいえ、お兄様。ここからがお願いです。私はアルーラ女学院に行きたいのです。ですが、1人だけでのは心配ですのでお兄様も一緒についてきてもらえませんか?」


 僕はその言葉を初めに付き添って欲しいということ、と理解した。


「もちろんいいよ。なんて言ったって栞の初の高校生活だからな。でも、親じゃなくていいのか? 普通だったら親に頼むもんだと思うんだけど」


「はい! お兄様がいいんです。明日からお願いしますね」


 僕はこの時に気が付くべきだったんだ。のが1回であるはずがないことに。そして、アルーラ女学園は全寮制であることを……

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