10/16 水曜日

 アイビーに食べ物と飲み物を持っていく。


 彼女はぼうっと暗闇を見つめていたけど、私が入ってきたことに気が付くと「家に帰して。」「皆に会いたい。」とだけ言うといつもの様に膝の間に顔をうずめて肩を震わしている。

 

 彼女を監禁してから4日が経った。

 私の部屋にアイビーを移す準備は使用人の人が着々と進めてくれていて、まだ時間がかかるらしい。


 日の光に当たってないせいか、アイビーは元気が無い。

 シャワーも使ってないのか彼女の綺麗な金髪がべたついている。


 私が手伝ってあげようと近づくとその分だけ彼女は距離を取ってくる。

 今までなら彼女の方から近づいて来てくれたのに。


 学校に行くモチベーションは無かったが、それでも行くようにはしている。アイビーにお金で苦労させる訳にはいかないしね。

 学校のあいつらはアイビーの名前を意図的に隠そうとし、その話題をデリケートに扱うようになった。

 そして私への態度も変わらないまま。

 

 アイビーが居ない学校なんてつまらない。

 

 それから戻ってきて彼女の様子を見ると、爪の間と首から血が流れた跡があった。

 首輪で息苦しかったのかな。

 

 シャワー浴びる?と聞くと「いらない。」と返された。食べたいのある?と聞くと「何もいらない。」と返された。

 そして一言「ここでの事は黙っておくからここから出して。」とも。

 まだここでの生活の日が浅いもんね。でもここから慣れていくから。


 体にも悪いからせめてシャワーだけでも、と彼女の手を引こうとしたら叫ぶような声で「触らないでっ!」と言われちゃった。

 ごめんね、アイビー。

 

 彼女にLINEと学校でのあいつらの様子を話して安全なのはここだけ、と言おうとしたけどそれは彼女が傷つくだけだからしない。

 あの苦しみを味わうのは私だけで良い。


 着替えと一応食事を置いてその部屋を後にした。


 また階段を降りたらアイビーに会える。

 しあわせ。

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