もう一つの日記
10/12 土曜日
「アイビー、食事と飲み物だよ。」
朝の6時ごろに様子を見に行くと彼女はもう目を覚ましており、体がぶるぶると震えている。
そういえば暖房はこの部屋に無い。あとでコンセントに刺すタイプのを持ってこよう。
彼女の首元を見て見ると跡は付いておらず、ひとまず安心した。
護身用とお父さんから強引に渡されたゴツいスタンガンをまさか使ってしまうなんて。
あれから使用人の人に手伝ってもらい、地下の元使用人部屋にアイビーを連れてきた。
でもどうしよう。
これって犯罪だよね。勢いでアイビーを監禁してしまった。
「ここはどこ?」「今日本番だから出して。」「上原っちどうしちゃったの?」「この首輪を外して。」
色々な事を言われる。
「こんなことするなんて、上原っちっぽくないよ。」
とも言われた。
普段の私の事を、アイビーはどんな目で見ていたんだろう。
勉強の出来る同級生だろうか。ただの友達だろうか。いつもくっついてくるうっとおしいやつだろうか・・・・・・。
いずれにしろ、私の想いは拒絶されてしまった。
そして、自分の要求が通らなかったからこういう行動に出た。
子供だと言われても、幼稚だと言われても構わない。
ただ、今日はどうしてもここから出したくなかった。
後夜祭に、行かせるわけにはいかなかった。
私は、最低だ。
夜学校から帰ってきてアイビーに「何か欲しいものはある?」と聞くと一枚の紙を手渡された。
辛いものか酸っぱいもの?
アイビーの好きなものは、さっきアイビーの家の行ってお母さんに聞いた話によるとクリームパスタなので違和感を覚えたが、一応覚えておくこととする。
アイビーの夕ご飯にクリームパスタを出すと、一口も食べてくれなかった。
そうだよね。ごめんねアイビー。
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