映像記録 2
10/08/07:12
「アイビー、お水だよ。」
撮影者の手より霧吹きから水が吹きかけられる。
鉢植えを置いていた床が霧吹きによって湿ってしまったらしく、コトンという物音の後に霧吹きを持っていた手に布巾が握られており、それで鉢植えの周りの床をポンポンと軽く叩いている。
10/08/16:22
学校のとある室内へと場面が移る。
そこには様々な種類の植物が並んでおり、それら一つ一つが画面へ映る。
「今年はまだどれも元気で種は採れないけど、こんなにまだ綺麗な花が咲いています。」
撮影者の声が入る。
どこか無機質で事務的な声。
ゴト、という物音がしたかと思うと映像の視点が固定される。
どこか平らな面に置かれたらしい。
それから小さなジョウロを持ってそれぞれの植物に水やりをする女生徒の映像が映る。
10/09/07:15
「アイビー、お水だよ。」
水が霧吹きにより吹きかけられる。
すると一枚の葉が取れた。
「元気、ないね。」
画面内へと手が伸びて来て落ちた葉を拾い、人差し指と親指がそれを摘み表と裏とをクルクルと回している。
10/09/16:31
「どう?似合ってる?」
映像には金髪の女生徒が可愛らしい服を来てくるりと一回転する様が映っている。
「うん、とても似合っているよ渡辺さん。」
撮影者の声を聞き、映像の生徒は段ボール箱の中からビニールに包まれた、自身が身に纏っているものと同じ制服を取り出した。
「ほら!上原っちも!」
「えっ、私はいいよ・・・・・・恥ずかしいし・・・・・・。」
「絶対に似合うと思うし!ほら、トイレで着替えてきなよ!カメラは持っててあげるからさ!」
女生徒のその声と共に映像がぐるんと回転し、元の撮影者が映し出される。
その手には手渡された制服がある。
「う、うん。じゃあ着替えてくるね。」
そう言い終えると、元撮影者は教室から出て行った。
「お、鈴木っち笹原っちおかえりー。」
教室へと入ってくる二人の女生徒が映像に映される。
「これから上原っちと店番の練習をするんだけど、二人もどう?」
「え、上原さんと?」
二人が口をつぐむ。
「ねえ、渡辺さん。夏ごろに来たから知らないのだろうけど・・・・・・。」
「あ、知ってるよ。事故の事でしょ?」
「じゃあ、もっとそっとしてあげようとかって・・・・・・。」
「なんで?上原っちって、一緒にいて楽しいし一緒にいたいじゃん。」
撮影者の声を聞いて呆気に取られたような表情を二人は浮かべている。
「ほらほら、練習練習!当日テンパらないようにやっときたいし!」
そう言い二人に制服を手渡し、その二人は教室から出て行った。
それと入れ替わりで店員の制服へと着替えた元撮影者が教室へ戻ってきた。
「どうかな?」
「チョー似合ってる!ほらやっぱ似合うじゃん!」
撮影者の声と共に映像がブンブンと振られブレブレになる。
「じゃあほら、早速・・・・・・店員さーん!この抹茶タピオカをお願いします!」
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