とある映像記録
映像記録 1
10/06/07:20
撮影者の家の中の映像が映し出され、中央には鉢植えの植物が写されている。
ツタのような枝から黄色の葉が所々から生えている。
「さあ、アイビー お水だよ。」
撮影者の声。
そしてシュ、シュと霧吹きが吹きかけられ、鉢植えの土が湿る。
「今日も綺麗だね・・・・・・。」
葉っぱを愛おしそうに撫でる撮影者。すると、その指に黄色い色が付く。
続いて、黄色い何かが沈殿した霧吹きが画面に現れる。
チャプチャプと中身を撹拌したと思えば、次にそれをさっき撫でていた葉へと吹きかける。
黄色い霧が吹きだされ、葉っぱを一層濃い黄色へ染め上げる。
「本当に、綺麗だよ・・・・・・。」
10/07/07:04
「アイビー、お水だよ。」
霧吹きで前回の映像と同じように水が吹きかけられる。
撮影者が手を伸ばすが、ビクりと手が震えその手が画面内より消える。
10/07/12:15
映し出される景色が家の中から机とイスのセットが規則正しく並んだ教室内へと映る。
机に置かれているらしく、通る人通る人の胴体しか映っておらず、顔は見ることはできない。
「上原っちからお昼一緒にどう、なんて誘われるなんて驚いたよー。」
一人の女学生の姿が画面に入ってくる。
彼女は鞄の中をごそごそと探り、大きい2段の造りの弁当箱を取り出す。
「あっ・・・・・・これママのだ・・・・・・。」
彼女がスマホを取り出して何かしらの操作をしている。
「お待たせ、それじゃ食べよっかー。」
そう言い、顔の見えない彼女が手を合わせる。
その彼女が弁当箱を開けるなり、
「う、アスパラが入ってるし・・・・・・。」
と彼女が箸でアスパラガスを摘まむ。
「渡辺さん、私のチーズ巻食べる?私アスパラ好きだよ?」
「え、マジ?お願いお願い!」
撮影者の声を聞いて彼女がそう言うと、弁当箱を持ち撮影者の方へと差し出す。
次に撮影者が自身の弁当箱を彼女へと差し出す。
「あれ、カメラ撮ってるの?」
彼女の顔がの画面に映る。
金色の髪に鼻の高く整った顔立ちをしている。
「うん、3年の最後の記録を撮っておきたくて。」
「そっかー、いいのが撮れるといいねー。」
撮影者の差し出したチーズ巻きをその彼女が箸で摘み、そのまま上の画面外へ運ぶ。
「うまっ!これ自分で作ってるんでしょ?上原っちいいお母さんになるよ!」
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