最近使用したドキュメント

韮崎旭

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 寒さ。あらゆる。具合が悪くなる。おびえている。部屋の底で。見知らぬ顔で。あなたがなき日々に請うた紹介状のような病状。できるなら紛らわすまま市街へと変わりゆく脳その破片さえ。こともなげに書き連ねた現象は明日にも機能にも居場所を持たず、黄葉の街路に行き場を見失って立ち尽くす惨めさがお前にわかるか?

 

 本当は寒さではないのかもしれないし、先天的に不具なのかもしれず、それはしかし一目見てわかるような不具ではなく、陰湿な狡猾さを隠し持っており、私にだけ嫌がらせをするかのような季節が過ぎ去れば知らぬ顔をして健康そのもの、はた病み上がりか、私の病はそうして私の骨にすくい、私はそれが時折骨をむしばみ、ひっかきまわし、台無しにするのを放置するほかなく、いかにしてこの不愉快な隣人を飼いならしたものかと思案し、出口はなく。寒さは私の具合を決定的に悪くしたし、健康な精神科患者生活だったわけだが、医薬品のPTP包装シートを床の上にばらまかないと生活ができないのかもしかして服用ができないのにはCYP2D6の阻害剤の併用は作用の減弱を招くかは知らないというかCYP2D6って。僕が書き始めたころには陽が高く昇っていて睡眠にも飽きたころ、劇的なことなど何もないようなタイピングで道の真ん中で僕は死んでいたけれど離別の温度、苛烈の強度、失くさないのは人工的、信心は滅裂に、掃き溜めでかき集めた人間性の退廃に重ねるような陰惨な障碍と天気と極めて正常な鬱病または躁鬱に沈んで溺水するかのような朝顔の見比べるカプセルの市販薬依存容易に回復する術を知らなかったただ人間になりたかったのかもしれないが僕がどこにいるのかわからないまま手だてもなく見立ては暗く先を行く日は淡く歪んだ笑いを投げかけ中華鍋の中で踊る蟻たちの奇矯さ正体のない夢想家、現在地の思想は、できもしない相対的な形而上学のなりすましに過ぎず、あなたが差し伸べたパンケーキの意思は遺書を書く暇も与えられずに天日にさらされて腐乱する表象に傷口を曝して安泰な病苦の中に漂うまま喧騒の熔解から逃れて僻地にはどこにも向かわず、誰とて知る暇もないその暗澹、絢爛、悲惨、狭隘、すべてを抱え込む太母のようにあつかましく見境のなく慎みのない症候群の、姿見にかざした限界積載量。限界積載量の饒舌、消失、狂悦、定まらぬ支点、それで書き散らすかえ?正気の逝き場所置き場所、鏡の中に閉じ込められた水銀、薄氷の渦に巻き込まれた探訪はどこへともなくさり、発音記号の春は夜明けを知ることなく、遊園地の水に沈むさまの再来にノスタルジックな見当ちがいを貼り付けて、意義の剥された感傷に常態を重ね合わせてそうしてバス路線の地図記号と曼荼羅、そうなのか? いやちがう、描かれることもないだろうすたれた寺院、暗渠と同じくらいには好ましいが、暗渠に好ましさを特別には持たないロールキャベツ130円はおでんが売られ始めた寒さの形容。だろう。冒瀆にふさわしい心象、幻滅されるべく都市は床上浸水の波形、音の姿がさる能楽のできもしない希死念慮。私が私で無かったら振り向きざまに見えた気がした陽光は気のせいの間違いで今日もまた野分のようなああ不具合が、何かしらの小説からすっかり遠ざかってしまった閑散とした書店はまるで絶滅後の世界のような殺伐、ここにはもう、文化の慰霊碑すらない、慰霊碑は文化か、死骸を悼む間もなく薬局がその空き地にたてられ、そうして不具合を埋め合わせする手段は化合物以外にもとめにくくなり、呼吸するような会話など行方不明となり、失踪した傾向を探してプラスチックな愛想笑いは割り当てられず貼り付けられず、知りたくもなく、私がいつぞや人間であったなら、若しくは、そうか。看板。国道408号線の挽歌、ささげる物などなく、憐れみは使い果たした空洞となり、トンネルに反響するのは、「かつてここに都市があった」。

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