第6話 初デート。

エアロプレスを閉めて外に出ると、外を歩いている人たちは見事にカップルしかいなかった。

この世に存在してるのはカップルだけなんじゃないか?って思うぐらいに。





…そうか。今日は12月25日だ。





「やっぱりちょっと寒いね。」


そういう鈴音さんの口からは白い息が出ていた。擦り合わせる手はいつも以上に白くて、ほんの少し赤い顔は鈴音さんをいつもより幼く見せた。



前にいたカップルが笑いながら1組しかない手袋を手を繋いでいないお互いの片手につけていた。


そういえば俺も手袋持ってたんだっけ。



「んー!25日ともなるとやっぱりカップルばっかりだね。


…そういえば勝也くんは好きな人いないの?」




「好きな人…」




そんなの1人しかいない。

でも…この言葉を伝えるまでの勇気は今の俺にはない。



そう。今は。



「ひ、秘密です!それより…手、寒くないですか?よかったら俺の手袋使ってください。少しは暖かくなると思うので…」


「ほんとに?ありがとう。でもそれじゃあ勝也くんが寒いでしょ?片方ずつつけようよ。それじゃ2人ともあったかいでしょ?」


ニコニコ話しながら手袋を1つ俺に返す鈴音さん。

他のカップルたちと俺たちの違いは、手袋を付けてない手を繋いでるか繋いでいないか。


他人から見たら俺たちはどう映ってるのだろう。友達?兄弟?先輩と後輩?

それとも…

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