第8話 カップルの誕生
触角が触れ合った時、彼は羽を広げ、激しく震わした。
彼が喜んでいるようで、私も嬉しくなった。
彼は羽を大きく広げ、背中をこちらに見せてきた。
(何かしら?)
彼の背中には透明な液体が分泌されており、非常に甘美なニオイがした。
彼の背中に乗り、その液体を1舐め、2舐めした。
非常に美味しく、私まで興奮してしまった。
私は本能に従い、彼と同じように背中を向け、お尻を彼に突き出した。
そして、彼と私のお尻の先端が接合された。
ドクンドクン。
彼の精子が送り込まれていることを感じた。
(あぁ・・・・・・)
一連の行動も終わり、接合したまま離れようとしない。
(暇ね)
彼が離れてくれないから少し動きづらいが、少し徘徊してみる。
(あ、意外と歩ける。そういえば、彼の体ったら、細かったわね)
私は赴くままに、好きに歩いた。後ろで彼が引きずられているのをなんとなく感じたが、気にせず歩いた。
しばらく好きに歩き回った後、接合していた彼のお尻の先端が外れた。
(あれ?)
それまで魅力的に思えた彼には、なんの関心もなくなった。
(触角が触れないようにしておこう)
触角が触れて彼に興奮されても困る。
(私もまた、いつかのお母さんのように子供を産むのかな)
餌を取り、水を探し、将来の子供たちのために栄養を摂取した。
(お尻から何か出てきた?)
動きにくいなと思ったら、お尻から茶色のカプセル状のものが出てきていた。
子供がお腹にいると実感したときである。
(余り遠くには行かないようにしよう)
それからはあまり遠くには散策に行かず、すぐに戻ってこれるところだけにした。
2週間くらいしたころ、お腹から飛び出ている卵はかなり大きくなっていた。
(この子達は私が守る・・・・・・!)
周囲の餌も少なくなり、少し遠くまで散策に行く必要が出てきた。
そこで、豊富に栄養がある、ヒトの生息エリアに行くことを決意した。
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