第5話 ヒト

 穴から出た先は、非常に明るくて広い世界があった。


 ドシンドシン。


 (え、なに!?)


 目の前の大きな二本の足が立っていた。上を見上げると大きなヒトだった。


 (ヒトって大きいなぁ・・・・・・)


 ヒトは台所で料理をしていた。


 トントントントントントン。ポロッ


 (あ、何か食べ物が落ちた!)


 下に落ちた食べ物を取りに行こうと思うが、ヒトの足が怖くて取りに行けない。


 (ほかにも食べ物は落ちていないかな)


 床のすみを歩いていると、食べ物が所々に落ちていることに気付いた。


 何かの植物の破片だろうか、1口食べて、食べるのをやめた。


 (もう少し肉!って感じが食べたいな)


 植物片を放置し、また歩き出した。食べ物を探して歩いていると、ヒトの足の近くまで来ていた。


 トントントントントン。


 (怖いけど、ここなら足に踏まれることもないかな)


 食べ物探しを続ける。ここなら食べ物がたくさん落ちていそうだ。


 ジュージュージュージュー。


 上から何かを焼くような音が聞こえた。


 (ん?これは・・・・・・)


 そして、周囲には油が飛び散り、その油に食べ物がたくさんついていた。


 (これは運が良い!ここならしばらく食べ物に困らなくてよさそうね)


 油と油についている食べ物を食べた。


 ある程度食べて満足したところで住処に帰ることにした。


 糞を落としながら。


 出てきた穴にたどり着き、最後に糞をまた落として穴の中に戻った。


 (ちょっと危ないけど、餌がたくさんあってとても良いところだった。また食べに行こうかな)


 そして、穴の外では、

 「お母さーん!さっき、またそのコンセントから出てきてたよ!」

 「最近、また出るようになったわね・・・・・・」

ヒトの親子がそんな会話をしていた。

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